イベントレポート詳細Details of an event

第104回 AGC Studio Design Forum
「ここでしか話せないミラノサローネのこと

2019年7月5日(金)
講演会/セミナー

登壇者
鈴木啓太氏 PRODUCT DESINGN CENTER代表
 

倉本仁氏 JIN KURAMOTO STUDIO代表
 

村上雅士氏 emuni共同代表
 

司会
勝呂昭男 AGC 事業開拓部 事業創造グループ

 

*文中敬称略



 

勝呂 こんにちは。AGC事業開拓部の勝呂と申します。今日は私が司会進行役を務め、ここにおられるお三方に話していただきます。クリエイターたちにとってミラノはどのような意味を持つ場所なのか、意見をぶつけ合ってもらいます。本題に入る前に、お三方の簡単な紹介をいたします。今年のクリエイションパートナーである鈴木啓太さん、鈴木さんのお隣にいらっしゃるのがグラフィックを担当していただいた村上雅士さんです。そして私の隣が2年前、2017年のクリエイションパートナーだった倉本仁さんです。内容としては、まず、前回のデザインフォーラムに来られた方々には繰り返しになってしまうのですが、AGCのミラノ・デザインウィークへのこれまでの取り組みのご紹介と、各パネリストのプロフィール紹介を行います。また2つ目のトピックとして、クリエイターがミラノに期待するものは何かを語ってもらいます。ただ、この期待には2種類あって、「見る側、来場者や鑑賞者としての期待」、また「出展者側としての期待」の両面があると思います。3つ目は、「ここでしか話せないこと」、例えば、最近の他社及び他者展示で良かったものを紹介していただき、今後、どのような展示をしていけば面白いだろうかを考えていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

*ここで勝呂氏はミラノサローネの概要とAGCのこれまでの取り組み及び今年の展示「Emergence of Form」を紹介。また鈴木氏は、自身のプロフィールと仕事内容に軽く触れる。以下は鈴木啓太氏がコラボすることの多いグラフィックデザイナー・村上雅士氏の自己紹介。

 

村上 村上雅士と申します。emuniというグラフィックのデザイン事務所をやっております。まずは最近の作品をいくつか紹介させていただきます。これはキリンビバレッジさんの「キリンレモン」という飲料のリニューアルデザインです。1928年発売の商品で去年90周年を迎えましたが、近年は若年層向けの飲料という立ち位置になっており、リ・ブランディングをしたいという依頼がありました。僕の方でロゴやパッケージ、広告等をリニューアルさせていただいた案件です。このパッケージにある麒麟の聖獣イラストは、近年、キリンビールの一番搾りとかラガービールなどアルコール系の飲料にしか基本的には使われていませんでした。発売当初はキリンレモンにも入っていて、リニューアルのコンセプトとして発売当時の透明感とか、素材にこだわったイメージを復活させたいということだったので、数十年ぶりにこの聖獣を復活させるのはどうでしょうかと提案したところ、クライアントの担当者も同じような思いをされていて、各所に調整をいただき、ラベルに聖獣を復活させ商品化しました。パッケージ、広告、CMなど全体のアートディレクターとして関わりまして、SNSを中心とした広告展開の効果も相まって初年度は当初の売り上げ目標の200%を達成しました。

 

 一方、こちらは、日本酒「十四代」で有名な高木酒造さん(山形県)、400年の歴史ある酒造メーカーさんでの仕事です。JAPAN CRAFT SAKE COMPANYさんがこの「十四代」を海外に販売していくということで、そのラベルデザインをさせていただきました。海外で販売する際に漢字で構成されたラベルだと海外の方に伝わらないため、漢字のわからない方々にも伝わるデザインにしたいという依頼を受けて、日本酒にまつわるモチーフだったり、高木酒造のシンボルである龍や、酒造りにまつわるモチーフを利用して紋章のようなシンボルを作りそれをパッケージのメインに据えています。こちらのデザインは好評をいただきパッケージデザイン大賞を頂戴しました。次のこれは、最近出版された空間デザイナーや建築家を紹介する書籍の装丁の、カバーだけなんですが、そのデザインをしました。空間デザイナーや建築家をダイジェストで図鑑のように紹介する本なのですが、様々なジャンルの、いろんなトーンのデザイナーの方々が載るので、あまりイメージを限定したくないなと思い、白とシルバーと黒の3つの色味で表現しました。3つというのは空間を表す最小限の単位だと思い、黒が地面や床で、白とグレーが壁を表しています。この3色で本の概要をシンプルに伝えようとしました。これは海外でも売られるので、英語の面(表4=裏表紙)もつくっています。

 

 こうしたクライアントワーク以外にも個人的なグラフィックアートとしてタイポグラフィーをモチーフに展覧会を定期的にやっていまして、これは東京・恵比寿にあるギャラリーで展示したポスターです。普通の展覧会ですと、告知ポスターと中に飾ってある作品は全然違うものなのですが、この告知ポスターを変形させました。こういうように中の展示品は告知ポスターと同じものなんですが、全てに様々な変形がかかっていて、形を楽しむ展覧会というのを企画して行いました(*画像で多様な告知ポスターを紹介)。

 

 こちらはKOSENという佐賀県の窯元の作品です。鈴木啓太さんが考えられたプロダクトに対して柄のデザインを行なっています。この七色の柄は「宝尽し」という日本の伝統的な文様で、本来は扇とか小槌とか、縁起物の絵が描かれているのですが、その要素を抽出して色帯だけでそのイメージを表現しています。一方、この青一色のものは「青海波」という波の模様を立体的に捉えて3Dの空間に見えるような不思議な柄をつくりました。こちらは和歌山のコーヒー屋さんのパッケージです。今年は主にこういった仕事を展開しています。

 

倉本 村上さん、さっきのキリンレモンって、味は変わっていないんですか?

 

村上 味も変わっています。だいぶ甘かったのを控えて、大人向けに爽快な味にしています。

 

倉本 200%って、すごくないですか! うちの事務所のロゴもつくってもらいたいですね(笑)。
倉本と申します。これは事務所の写真です。こういった場所で、手作りで、いろんなものをつくり、サイズとか機能を検証しながら、地道につくるプロセスを大事にデザインしています。少し仕事の紹介をしますね。まずは、2017年ミラノサローネでの「Touch」に触れないといけませんね。当時はまだ、「旭硝子」という社名でしたね。今はテレビCMでも、AGC、AGCと流れていますけれど。余談ですが、今日の朝、子供に晩御飯のことを聞かれて「今日は夕方からAGCでトークショウがあって……」と答えると、「えっ、あのテレビでやってるAGCのこと?」って言われて(笑)。小学生にも響いているみたいですね。テレビ広告って、こんなに力があるのか、って思いました(笑)。あの時、展示したガラスのシーソーに、僕の子供が乗っていたじゃないですか。でもAGCのことは覚えてないんですよ。「えっ、あれAGCだったんだ」って(笑)。「Touch」はその名の通り「Touch」というテーマで2017年にやらせていただいたものです。ガラスに触り楽しむ作品をいくつかまとめて出展しました。ガラスのシーソーに子供を乗せたり、ガラスだけでつくったドラムを来場者に叩いてもらったりしました。

 

普段の仕事として多いのは家具、それから家電関連のプロダクトデザインです。割合でいくと、40%が家具、40%が家電製品、20%がその他、例えば車だったり、サングラスだったり、みたいな感じです。
*画像で自身のデザインを次々と紹介。家具とアートの関係を少しなぞりながら、麻の繊維だけでつくったイスの話題と海外の環境問題に対する風潮、さらには最近デザインしたカセットボンベで使えるモバイルガス器具も紹介。

 

*今年の展示を鈴木氏が改めて解説。詳しくはAGCデザインフォーラム・アーカイブス#103を参照。


#ミラノサローネ #鈴木啓太 #倉本仁 #村上雅士

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