イベントレポート詳細Details of an event

第101回 AGC Studio Design Forum
「スポーツする建築」 ~展覧会「鏡と天秤」より、浜田晶則 x上林功

2019年3月14日(木)
講演会/セミナー

上林 先ほど、チームラボさんが提案されていたプロジェクトの中に、ヘリウムガスを使うものがありましたよね。ヘリウムガスを中に入れると浮くんですよ。もちろんETFEにも重量はありますから、その重量と釣り合うように考えられれば、できると。

 

浜田 ただ、ヘリウムって、すごく高いんですよね(笑)

 

上林 そうなんですよ(笑)。

 

浜田 あの駿府城のケースでも、毎日、夜間にヘリウムを注入していたんですけど、あれは2、3週間の展示だったからよかったんですが。そのコストで事業が回るのであれば、価値がありますよね。

 

上林 新国立競技場の試算でも、最初は3000億円かかるとか概算が出て大騒動になりましたが、最近、スタジアム事業でよく聞くのはPFIだとか、官民連携だとか、完成して委託費を考えるのではなく、最初からトータルで運営も全部踏まえた計画になってきています。だから、屋根を浮かせるスタジアムも、きちんとビジネスが成立するならば、考えようがあると思います。

 

浜田 誰が主体者となって運営するのか、また建設の段階からオペレーションシステムについて考える態勢を整えることが、持続可能な建築とスタジアムビジネスを作っていくのではないかと思います。

 

上林 そうすると、これまでの設計者、施工者、運営者という分け方そのものがナンセンスになってくるかもしれない。それらが融合した形も出てくるんじゃないか、と思っています。先ほど紹介したメジャーリーグサッカーで、そういう動きが出ているんですよね。例えば、スポーツチームなんだけれども土地開発までやっちゃう、という。設計もチームの中でやっちゃう。そういうスーパー企業みたいな例も生まれてきています

 

浜田 まちづくり会社に近い感じなのですかね。

上林 そうだと思います。先ほど「スタジアムの解体」というお話をしました。数あるビルディングタイプの中で、建築にとどまらず、というか、建築になりきれていないんですよね、スタジアムが。

 

浜田 ああー。

 

上林 いわゆる造園だとか、都市開発などに常に片足を突っ込んでいるのがスタジアムというビルディングタイプの特徴。ただ、これをガッチリと建築でつくってしまうと、無理やり感が出てくる。だから、そこにいろんな人が関わって、みんなでそれをつくりあげていく、というのが大事で、今後は新たな組織体制というのもあり得るような気がします。

 

浜田 ほぼ土木っぽいですものね。

 

上林 実際に、土木、造園がらみのことが日本のスタジアムの足かせになっていたりします。今、公共事業でスタジアムを立てる場合は、観客席は建築がみます、でもグラウンドは土木がみます、という、「えっ、そこで分けるの!」と。今後はそこをソフトにして欲しいですよね。

 

浜田 駅の開発みたいな印象を受けますね。

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