イベントレポート詳細Details of an event

「おおきなまちのちいさなリノベ」連動企画 トレンド・新技術セミナー
「リノベーション市場の現在と、リノべる。の挑戦」

2016年9月29日(木)
講演会/セミナー

山下 智弘 氏
(リノべる株式会社 代表取締役)

 

*2016年9月29日に開催。
 

山下 本日は次のような内容でお話しをさせていただきます。まず、弊社の会社概要をご説明した後に、リノベーション業界の状況をお話しします。外部環境と内部環境という2方向から見た状況についてお話しします。それから、私どもの会社について、もう少し詳しくご紹介をさせていただき、今後の進むべき方向について触れようと考えております。

 

 さて、最近、リノベーションが注目され、盛り上がりを見せている一方、中古住宅の流通自体がなかなか伸びていないという現状があります。欧米諸国に比べ、日本はまだまだ新築市場が中心で、中古市場が伸びていない。これには提供側の意識もありますし、買い手側の意識も関係するので、その両方が変わらないと中古市場へシフトしていくのは難しいと感じております。1階の展示にも示されていましたように空室率の問題もありますし、実際の市場が活発に動いているわけではないと我々は見ています。

 

 まず、リノべる株式会社について簡単に自己紹介させていただきます。2010 年4月に設立した会社です。私はもともと大阪でゼネコンにおりました。大阪の北のエリアに団地が多くあります。そこで用地の仕入れをし、高層マンションを建てる企画部という部署にいました。その部署のミッションは新築マンションを建てるのに適した用地を仕入れ、デベロッパーに提案するというものです。そう簡単にはいい土地は仕入れられず、苦労していました。その中で、たくさんのマンションをつくってきました。ただ、「これでいいのかな?」という疑問や思いがありました。例えば、駅前など自分が住みたいと思う立地には既に建物が建っていて、そういう建物はなかなか立ち退きが難しい。老朽化も進んでいる。自分たちのやっている仕事は、心底から住みたいと思えるような場所ではないところに大規模なマンションを建て続けている。「これでいいのか?」という思いがずっとあり、独立してつくったのが、リノべる株式会社です。現在7期目で、200名弱の社員がおります。全国に23のショールームを展開しており、スライドで示す「株主」のところにありますように、今春、東急電鉄と業務資本提携をし古い1棟ビルのリノベーションなども含めてやっております。

 

 さて、最近はリノベーションが話題になることが多く、「リノベーション」は時代のキーワードになってきておりますが、実際に自分が家を持とうというタイミングの時に、それを選ばれる方は、まだまだ少数派だと我々は思っています。

 

 このスライドはリノベーション住宅を取り巻く環境を示した図です。まず外部環境を見てみますと、ここにあるようなキーワードがあります。これらを分類し、少しまとめてみました。「法律・政治的要因」また「経済的要因」あとは「社会的な要因」「技術的な要因」というところで、外部環境を整理してあります。まずは、この法律・政治的要因をピックアップいたしますと、住宅に関する国の基本計画が見直しになり、中古住宅の市場規模が20兆円に拡大していくだろうと見込まれています。これは「拡大していかないといけない」という本音が隠されているかもしれません。国交省も経産省も躍起になって中古市場に関する施策を進めています。

 

私も一昨年、経産省の外部委員をさせていただき、どうすればリフォーム産業が活性化するかを議論しました。このグラフに示すように中古住宅の流通自体を2025年には倍増させようという見通しで進められております。国交省を軸に取り組まれているのですが、本気だという印象を持ちます。というのも、我々は一般社団法人「リノベーション住宅推進協議会」に所属しており、私も理事をさせていただいておりますが、そこへ国交省の方も加わり、「どうすれば中古住宅が流通するか」という議論をよくやっております。これまでは新築を建てるのが有利になるような、例えば税制面もそうですし、ローンもそうですし、そういう施策を行ってきました。その方が国を豊かにできる時代だった。地価が右肩上がりで、人口も増加し続けていた。スクラップアンドビルドでいこうという流れでした。今はそうはいきません。人口も経済もシュリンクしていく時に、中古住宅に対してどのような施策を打てば伸びていくのかを模索している状態なのです。新築を建てる時と同じように優遇するのか、もしくは事業者に対して支援をするのかなど、いろいろな施策を考えているというところではないでしょうか。確実に言えるのは、国交省も経産省も、中古住宅流通に対して何らかの振興策をしなければいけないと考えているということです。

 

 一方、経済的要因を見てみましょう。これは日本の平均年収の推移を示したグラフです。このようにどんどん下がってきています。いわゆる非正規と呼ばれる方がどんどん増え、格差も拡大してきている。それに対して、このグラフはマンション価格を示すもので、いわゆる「年収倍率」と呼ばれるものです。年収の何倍で新築マンションを買えるか、というものです。これを見ますと、例えば東京都内では10倍を超えている。年収が下がる一方で新築マンションの価格が上がっている。年収500万円の人は5000万円を出さないと購入できない。そうすると都内で買うのは難しくなり、結果、新築が売れなくなってくる。

 

 それから社会的な要因です。これは私がすごく嬉しかったことなのですが、会社四季報が出版している「業界地図」という本があります。ここに初めて「リノベーション」というページができました。これまではリフォームというページだけだったのですが、新しくリノベーションが出てきた。これを見ると、積水ハウスや三菱地所など大手がリノベーションに乗り出してきているとか、我々リノべるも、ありがたいことに、新規参入組として取り上げていただいています。リノベーションに関する「業界天気予報」を見ると2012年くらいから日本全体の天気は良くないのですが、リフォームやリノベーション業界については両方が「晴れ」になっています。また技術的要因については、最近聞くようになったAIですね。ホームテックとか不動産テックなどいろいろな言い方をされています。要は、IoTと呼ばれるインターネット・オブ・シングス、モノにインターネットが宿った時、どんなことが起きるかを研究されておりますが、我々、建築や不動産の分野でも同じことが起こっています。これまでなら図面があり、パースがあり、お客さんに想像をしていただくというレベルだったのが、こういうカメラセットをつけると画像が浮かんでくる。VRまで私たちの業界に浸透し始めています。また、こうした不動産のデータについて手で集計していたものがAIによって瞬時に分かるように、プライスマップなどに変換される。それから、これは私たちがつくった「nekonote(ねこのて)」というアプリケーションです。これを使って工事を管理します。このようにITが入ってくることで、新たな可能性が生まれてきています。

1 2 3 4