イベントレポート詳細Details of an event

第97回AGC Studio Design Forum
「アートでつくる都市スケールの “ラウンジ”」

2018年10月18日
講演会/セミナー

中崎 では、私の方からも少し質問させていただきます。ユーザー経験のなかで「路地が気になった」という意見が多かったというお話がありました。ただ大規模な再開発をすると、路地がなくなり、広場になってしまう。また、広場は使うのが難しいのではないかと感じています。もう一つ、現代における美術館のキーワードのひとつに「エンターテインメント」がありましたね。渋谷がエンターテインメントシティと謳っていますが、渋谷のエンターテインメントと、京橋のエンターテインメントの違いをどのように思われていますか?

 

矢野 まず、今日は建物のデザインについてはまだ明らかにできないので、一つ目のご質問に答えにくいです。ただ、なぜ、エリアマネジメントが、ソフトが重要になっているかというと、これまで東京にはたくさん広場がつくられてきましたけれど、うまく使い切れていないところの問題性があります。だから、それを使いこなすための仕組みづくりが大きなテーマになると思います。ストリートがいいか、広場がいいか、路地がいいか、ということについては主観もあると思うのですが、今回の京橋のプロジェクトについては、おっしゃる通り、この路地性、界隈性というのは非常に重要なテーマであり、当然、建築デザインの中にも織り込んでいます。一方、路地を単なる道として作っても何も起きないので、路地の中で何を見させるか、何を体験させるかが建築デザインとは別な場のデザインとしての肝だと思います。エンターテインメントについて、渋谷でやっているエンターテインメントについてはあまり存じ上げないので何とも言えないのですが、今回、京橋でどういうエンターテインメントが望ましいかの手掛かりを探すために、ちょっと禅問答みたいな回答になってしまいますけれど、今日お話ししたようなことに取り組んでいます。だから、渋谷でやられているエンターテインメントをここへもってきても成功しないだろうと思います。

 

中崎 渋谷はNHKがあるということがすごく大きいですね。また音楽やクラブ文化やファッション含めて、どちらかというと若者文化のエンターテインメント性みたいなものがある。京橋は東京駅に近いので、ビジネスマンや観光客を対象にする必要があるんじゃないかと思います。今回はラウンジがテーマですが、今回のプロジェクトではどのようなラウンジができるのでしょうか。

 

矢野 戸田建設さんのB街区については、あと4・5年かかり、現在まだ設計されている段階なので、私からコメントすることがこの場では難しいです。A街区の部分については、待ち合わせ場所って京橋では何でしょうかね。待ち合わせ場所として、この1階から3階につながる美術館のホワイエがパブリックに使われてもいいかな、と。ただ、デザイン上、どういう待ち合わせ場所かと言われるとお話しするのはまだ難しいですね。

 

中崎 まだ具体的なデザインに行っていないということですね。

 

矢野 建設最中ですが内容はまだ公開はできない、かな。

 

中崎 アナロガスツアーの事例としていくつかお出しになったなかで、南池袋公園が都市の中のラウンジのイメージとして分かりやすかったと感じています。

 

矢野 都市スケールという言葉を「メガスケール」という言葉と同義にとらえてほしくないと、今ふと思いました。日建設計は都市計画も扱っている大きな事務所ですが、私は先ほど紹介したような小さな空間や家具まで落としこんだスケールの積み上げで都市ができていると考えています。そういった意味では、大きな「ラウンジ」というイメージでひとくくりにしてしまうと南池袋公園が出てきますが、この京橋に似合うということでいうと、少し界隈性がある小スケールの空間も広場と合わせてうまく使うことが大切だと思います。広場というと大きなスペースがいりますけれど、小スケールの空間を上手に配置していく。とか……。私がここで言う都市スケールの定義としては、小さいものと大きなものがミックスされた意味で使っております。

 

中崎 エリアマネジメントについてですが、A街区、B街区のエリアだけのマネジメントですか、それとも京橋全体のエリアマネジメントですか。

 

矢野 もちろん、勝手に他人の土地のマネジメントをするのはできないので、都市計画で定められた京橋一丁目東地区のエリアマネジメント組織です。実際、大丸有地区というのは、三菱地所さんがやられているエリアで、ひとつの企業がまちのイメージをつくっている例だと思います。京橋は特定のディヴェロッパーのイメージが強くないことがある意味の強みであって、我々のクライアントである京橋一丁目東地区が考えているのは、そういった周辺でさまざまに行われる再開発と今後連携をとって積極的に地域の活性化を進めていきたいということです。みんなで一緒に京橋を盛り上げていこう、と。そういった機運を盛り上げるためにプロジェクト・ブックをつくるような進め方をしているのです。周りとつながっていこう、と。

 

中崎 私は京橋三丁目町会の方々と少し付き合いがありまして、数年前に彼らと京橋二丁目と三丁目に「ショールーム」を構えている企業と「東京・京橋まち作事研究会」をつくり、エリアマネジメントのきっかけづくりを目的に活動を始めました。その後、ショールームを移転、あるいは縮小する企業があり、活動を継続するのが難しくなり、休止しています。この周辺のエリアマネジメントの例として大・丸・有があり、三菱地所が中心になりおやりになっています。日本橋は三井不動産や三越、老舗企業の人たちでおやりになっている。一方、銀座は、銀座というブランドの価値をみなさん知っていますので、エリアマネジメントの努力をなさっている。その間にあって、京橋は東京駅にすごく近くて、いい場所なのに、これまではエリアメネジメントの動きは小さかった。でも、東京スクエアガーデンができて、二丁目にエドグランができ、再開発が進み、ついに一丁目も再開発される。一丁目から三丁目までの企業が連携すれば京橋がもっといいまちになっていくのではないか、という期待をして京橋一丁目再開発のプロジェクトを見ています。ということで今日は終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 

 

 

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