イベントレポート詳細Details of an event

第97回AGC Studio Design Forum
「アートでつくる都市スケールの “ラウンジ”」

2018年10月18日
講演会/セミナー

 これが大きな断面構成ですが、A街区には美術館、1~3階は展示施設と書いてありますが美術館の無料公開エリアと思っていただければいいと思います。B街区のほうは創作交流施設、情報発信施設となっており、こちらは2024年に向けてまだ計画中です。ブリヂストン美術館は、1952年に開館した日本でも長い歴史がある美術館です。コレクションとしては近現代西洋絵画を中心に、古代、日本古美術、現代アートなど多岐に渡るジャンルをそろえていらっしゃいます。この図は、広場を使ったアートイベントのイメージ図です。今日の話の大部分は、こういったことを本当に実現してアートを中心としたまちをつくるにはどうしたらいいか、という仕組みのお話になります。もともとはこの真ん中に道路があったものを大きな広場にしていくというスキームがございます。

 


 ところで、日建設計は大規模再開発など大きなスケールのものばかりつくっているというイメージがあるかもしれません。でも実際に設計をしている我々は、家具スケールから、インテリア、建築、そして都市までを横断的に関連づけながら設計を行なっています。そこで、私が過去にやった事例を紹介しながら、都市とアートの関係のヒントになることを何プロジェクトかご紹介したいと思います。一つ目は「ホキ美術館」です。千葉県の昭和の森公園のそばにあります。細密画と呼ばれる写実絵画が展示された個人美術館です。立地は住宅と公園のエッジに建っていて、今見ると住宅地の中に美術館が無理やり押し込まれたような印象を受けるかもしれませんが、実はそうではなく、美術館が先にあって、まちは後にできたのです。

 

写真に示すチューブ状のギャラリーを重ねたようなデザインです。すぐ横に住宅地があるので、違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。この住宅に住む人たちは嫌じゃないんだろうか、という話をよく聞かれるのですが、実は、美術館のあるまちとして土地区画整備事業がなされた場所なのです。周囲の人たちは、美術館がここにあるから住んでいるともいえるわけです。美術館があるため多くの人たちが訪れていますが、そこで起こった予期しなかった出来事として、自分の家の駐車場を利用してワゴンを出して販売を行ったりされる方が出始めた話を耳にしています。これは、美術館ができたことをきっかけに、まちと人がつながるきっかけになった好事例だと考えています。これは設計した我々が仕掛けたことでも何でもなくて、自然発生的に起きたことです。
*ホキ美術館に関するショートムービーを紹介

 

 もう1つの事例は、明治神宮外苑の中にある京都造形芸術大学が運営する東京芸術学舎という芸術大学があります。この建築のコンセプトは外苑の森に木を切らずに、コンクリートブロックと鉄骨のハイブリッド構造で建てるというものです。場の使い方として面白いのは、教室を全部開放して行う卒業制作展やアートイベント、企画も開催され美術館のように使われ、誰も自由に空間・アートを楽しめる状況が生まれています。設計意図として学生の芸術活動が自然と外に滲み出て、外部とつながっていくことをイメージしていましたが、現実が予想を超える使い方になっています。

1 2 3 4 5 6 7