イベントレポート詳細Details of an event

第96回AGC Studioデザインフォーラム 「空間のしきり」

2018年9月13日(木)
講演会/セミナー

公共空間でのバリアフリー

 

清泉女学院大学 講師 榊原 直樹氏

榊原 榊原と申します。宜しくお願いいたします。
 私は長野市にある清泉女学院大学に移って3年目になりまして、文化学科で教鞭をとっています。他にも、デジタルハリウッドや放送大学で、ユニバーサルデザインについての講義をいたしております。大学に移る前は、企業で「情報のユニバーサルデザイン」をテーマとしたコンサルティングを行っていました。
 自分の立ち位置がデザイナーかエンジニアかはっきりしないので、専門を聞かれた際に困っていますが、企業の持っているシーズを障害がある方に応用する際のコンサルティングをしたり、あるいは障害を持っている方たちから、「こういうことに困っている」ということを伺い、企業のシーズと結びつけたりなど、シーズとニーズの翻訳をするようなトランスレーターのような仕事です、と自己紹介しています。

 

 大学ではどのような研究をしているかと言うと、やはりユニバーサルデザインがメインになります。最近では、例えば、視覚障害者がパスワードを入力する際に覗き見されると困るので、どうすればそれをクリアできるか、というような研究をしております。
 また、研究成果を普及させるために、「JIS X 8341シリーズ 高齢者・障害者等配慮設計指針」の委員も務めています。この「8341」は「やさしい」のゴロ合わせになっていますので、ぜひ機会があれば参考にしていただければと思います。
 大学に移ってから新しく始めた研究としては、ゲームを使って何か面白いことができないかということで、ゲームを使って学習する、ゲームを教材として使用することなどにも取り組んでおります。

 

 本題に入って参りますが、その前に申し上げたいことが一つございます。
 こういう講演会でお話をする機会をいただく際、最後に司会の方が「心の問題、心のバリアフリーが大事ですよね」と、まとめてしまうことがあります。それまでに、こちらはユニバーサルデザインの具体的な話をしていて、その後にそういうまとめ方をされますと、ガクッとなるのが正直なところですので、今日はそれはなしでお願いします。

 
 
 今、スライドで表示しているのは、平成12年版『障害者白書』から引用した「4つのバリアフリー」に関する記述です。1つ目は物理的な障壁でして、ユニバーサルデザインやバリアフリーで取り除く障壁という内容です。2つ目が制度的な障壁で、障害があることを理由に資格・免許等の付与を制限することが該当します。2006年に障害者差別解消法という法律ができ、それによって随分改善されてきていますが、最近も、障害者雇用率の算定が誤っていたなどの報道があり、これについての障壁はまだ多く残っていると思います。
 3つ目は文化・情報面での障壁です。これは情報分野に関連することでして、私の分野に一番近いものです。4つ目は意識上の障壁(心の壁)となります。いつも疑問に思うのは、心の壁がなぜ最後に来るのだろう、ということです。先ほど申したように本来は、それが最初にあり、それをなくすために物理的な障壁や精度的な障壁を解消するべきではないのか、順番が逆なのではないかと考えています。

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