イベントレポート詳細Details of an event

第75回 AGC studio デザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.19「新しい建築の楽しさ2016」展連動企画
「建築的視点を拡張する」

2016年12月15日(木)
講演会/セミナー

山岸 綾氏
(サイクルアーキテクツ)

 

「あいちトリエンナーレ2016豊橋会場プロジェクト」(愛知県豊橋市)

 

山岸 山岸です。よろしくお願いします。私は早稲田大学の修士を出てから、原広司+アトリエ・ファイ建築研究所で勤めた後、独立して今に至っております。たまたま、国際芸術祭の仕事をさせていただく機会が増えてきまして、今回はあいちトリエンナーレの豊橋会場プロジェクトに関して、中崎さんから声を掛けていただきました。なぜ、そういうことをするようになったかとよく聞かれるので、他の芸術祭で取り組んだプロジェクトも交えてご紹介します。

 

最初に関わったのは新潟県の十日町市・津南町で開催される「大地の芸術祭」越後・妻有アートトリエンナーレです。これは国内の芸術祭の草分け的な存在で2000年から続いているのですが、私は2007年から関わり「廃校プロジェクト」のひとつということで、集落にある木造小学校を美術館にリノベーションするという仕事を致しました(複数の写真で紹介)。また昨年は別の廃校プロジェクトに関わり、農業やスポーツも取り入れた拠点、カフェをつくろうということで、RC造りの小学校をこんな風に改修しております。越後妻有の場合は、ご存知のようにたくさんの建築家が関わっておりまして、新築から改修などまで1か所に1人の建築家がついて行うパターンが多いです。そういう仕事をしていたところ、2013年にあいちトリエンナーレの話をいただきました。

 

あいちトリエンナーレは2010年からスタートした国際芸術祭で、その年は名古屋で開催し、2013年は名古屋と岡崎の両都市で展開することになりまして、私は岡崎が地元なこともあり、岡崎会場の担当で声を掛けていただきました。越後妻有では建築家がかかわる場所や作品は、そのまま残すことが多いのですが、あいちの場合は毎回、芸術監督が代わり、基本的には開催期間だけ場所を借りて展示し、後は撤去してしまう期間限定のものです。ただし建築家は、ひとつの都市の会場を全部担当することになり、私はその岡崎を担当したわけです。どこの地方都市もそうなのですが、岡崎も中心市街地の空洞化が進み、高校生の頃に楽しみに通っていた街中のデパートが空いてしまっておりました。そこのレストラン街だった1800㎡ほどある1フロアを改修し、写真家の大きな写真パネルを273点展示したり、その一つ下の階には世界的な照明家とピアニストの作品を展示しました。また、別の会場、例えばお寺の門前の、珍しい木造アーケードがある場所では、30㎡ほどの長屋を数軒お借りして作品を展開するようなことをしました。

 

一方、今回の2016年の開催では名古屋・岡崎に加えて豊橋が会場になり、そこを担当しました。豊橋の場合は駅から徒歩5分以内の場所にすべて展開するコンパクトな展示となりました。2013年にオープンしたPLATという劇場からスタートして、水上ビルという、これは牟呂用水という用水路だったところを暗渠化し、その上に幅8メートルという3~5階建ての15棟が800m連なって建つ面白いビルなんですが、そこの4か所を巡ります。そこから路面電車が走る駅前大通に出て、はざまビル大場の2フロアと、最後に開発ビル、そこがメインの会場になるのですが、1フロア約1200㎡10階建ての建物の複数階をお借りして展示しました。観客はEVでまず10Fの元市民ホールだった場所に上がり、各階の作品を巡りながら階段で下りてきます。

 

あいちトリエンナーレ全体では110人以上の作家が参加しているのですが、豊橋会場だけでは19作家、私が担当したのは15の会場ということになります。リノベーションというほどではない、ちょっとしたことだったりもするのですが、とにかく15の会場を同時多発的に作家とキュレーター、建物所有者さん、行政と相談しながら構成するというのが私の仕事でした。中崎さんが「仮設のまちをつくるみたいだね」と仰ってくださったのですが、その時だけ、あいちトリエンナーレの2か月半の期間だけ現れるまちをつくる、みたいな不思議な作業です。これが、水上ビルです。ここでは10年くらい「SEBONE」というアートベントをやられているのですが、水上ビルは本当にまちの背骨みたいに、用水路のカーブに沿って建っています(写真で豊橋の会場や建物を説明)。私たちがお借りしたのは水上ビルのこの部分でして、もともと商店主の方々が引っ越してきた建物でしたので、こういう縦割りのメゾネット長屋になっています(写真で会場の建物を解説。ある建物の中の各階を飛び飛びで使っていることから、全体の動線計画が課題になったことなども紹介)。

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