イベントレポート詳細Details of an event

第74回 AGC studio デザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.19「新しい建築の楽しさ2016」展連動企画
「新築ではつくれない空間をつくる」

2016年11月24日(木)
講演会/セミナー

小川 こういう場所を用意しているのですが、その時に一つ悩んだことを言いますと、今、このプラン、このビルの形態からこのリングは出ていないのですね。こういう風にリングが外へはみ出していっていいのかなぁ、と考えたのですが、そうしなかったのです。理由は、自分の中でルールをつくったからです。ヨーロッパの古い町並みから少し離れたところにあるのですが、そういった中で昔ながらの建築の枠を超えるようで、超えないようにしよう、と。そういうルールを決めたのです。だから、既存の病院の枠内ですべて収められるようにしました。これを逸脱していくと、何でもありの世界になっちゃうかな、と思ったのです。やはり、ある枠の中でどう収めていくか。インテリアの世界がまさにそうだと思うのですが、ある建物なり建築があり、超えられないルールがある。今回はランドスケープではなくなった。もし、下の、例えば駐車場のランドスケープということであれば、もう少し広がりのあるデザインを考えたかもしれませんが、屋上というビルの中で納まる場所があるので、そこから出ないということにしたのです。

 

新築ではないものの上に、新築ではあるのですが、こういうパーゴラをつくる、と。床の部分がまさに古い建物となっているのですが、今回は屋上にいる人だけの意識ではなく、ビルの上にあっても、街の外からもその形態がかなり認識されるものなのです。リング状のものが浮いているという状況になりますので。そういった部分も加味しながら枠から出ないようにしていこうと考えました。

 

場所によっては構造的にフラットバーを入れているのですが、それがパーゴラの役目も果たして光を制御しています。このように場所によって方向を変えているのです。時間とか季節によっても下に落ちてくる光の感じが変わってくる。その時々によって、ここに来た人が思い思いに座っていただければと思い、こういうデザインにしています。ここにある草木もクロアチアの風土に合ったものを、これも不思議な話なんですが、僕がランドスケープデザインをしにいっているのに、現地のランドスケープデザイナーがついています。そしてその方が植栽を選んでくれている。で、現地の設計事務所もこのリングやフラットバーの構造について行政とのやり取りをやってくれるということです。非常に好待遇で、僕はデザインをしていくだけ、というような状況にあります。
*図面や画像で現地の様子や設計コンセプト、施工方法などを詳しく紹介。

 

屋上からの景観、旧市街地とか新市街地への視界を遮りたくはないので、手すりは合わせの強化ガラスを検討しています。シビアな話で始まったプロジェクトではありませんが、海外の、民族紛争のあったところで、こういう仕事をやることになったわけで、なぜ、日本人の僕にデザインを依頼したのかと考えた時に、やはり何か新しいものを求めているのです。そういう時代の背景があり、まだまだ建築的、空間的に新しい場所が少ないので、外からエッセンスを引き込んで環境を変えていきたいという意識があるようで、そういう理由で僕が呼ばれた、と。ちなみに僕を呼んだクライアントは外科の女医さんなのですが、その方が上司から「病院の環境を改善しろ」「患者にとっても、スタッフにとっても気持ちのいい場所を用意しろ」という指令が出たようなのです。何かの建築サイトで見て、僕に連絡をしてきたという経緯があります。本当に信用できるクライアントで、今年はもうなかなか動きづらいのですが来年以降、計画が本格的に進んで、こういう場所ができあがればいいな、と思っています。そのようなプロジェクトです。

 

※関連コンテンツ: ガラスプラザPRO コラム「新しい建築の楽しさ」
Case16:「クロアチア・SKYSCAPEプロジェクト」 設計:小川博央建築都市設計事務所

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