イベントレポート詳細Details of an event

第61回 AGC studioデザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.14「学校の窓から、見えるもの。」連動セミナー
「最新の学校施設づくりについて」~これからの地域社会と学校のあり方~複合化

2015年10月21日(水)
講演会/セミナー

赤松 では具体的に立川市立第一小学校・柴崎図書館、柴崎学童保育所・学習館という複合施設のことをお話しします。2014年に竣工しました。立川駅から歩いて10分くらいの閑静な住宅街に位置します。この航空写真で分かるように周囲は戸建て住宅がびっしりと並んでいるエリアです。ここが、諏訪神社の森になっており、これが敷地です。140年以上の歴史を誇る国内で最も古い小学校の1つです。その建替えプロジェクトでした。こちらに示すように旧校舎が築50年を経過しており、耐震診断の結果が、基準の数値を下回っていました。また柴崎学習館や同図書館は、別の場所にあったのですが、そちらも老朽化が激しく、そこに学童保育所も複合することが立川市の方針で決まったわけです。

 

これがもともとの校舎です。北西側にグラウンドを取り囲む形状で校舎が建っており、道路を挟んで東側に第二グラウンドがありました。また南側の道路を挟んでプールがあり、地下トンネルでつながっているというものでした。もともと敷地が狭いので、そのように分散して配置されていたのです。こうした状況に対し、児童を含む学校関係者の安全確保を図り、柴崎図書館・学習館・児童保育所もそこに複合化するというものです。私たちがこれに関わることになった経緯は、立川市がマスタープランを考える際、そのマスタープランを考える事業者をプロポーザルで募集し、その結果、関わることになったという、通常の建築プロポーザルとは異なる経緯をたどっています。

 

 改築するに当たり、まずは第二グラウンドのほうも利用せざるを得ないので、そこも建ててブリッジでつなぐことになりました。こちらが完成予想のパースです。マスタープラン報告書から抜粋して少し紹介しますと、こういう敷地に対してそれを囲んでいる道路が狭いので、周辺の住宅に対する配慮も必要になります。また、140年以上の歴史があるので、例えば、いろいろな機会に記念植樹等がされたり、記念の彫刻をはじめ子どもたちの卒業製作物、誰も出自を知らないものまで含めると、気を配るべきさまざまなものがありました。また、いま学校でなされている少人数教育のやり方、内容、さらには放課後の活動などを徹底的に調査する必要があります。それから通学動線の検証もしないといけません。そういうことを考えた結果、敷地境界から建物を3メートルセットバックし、子どものための安全な通学動線を確保することにしました。

 

同時に、学習館や学童保育所に関してもリサーチをし、合わせて考えることにしました。敷地がもともと狭いのに、複合化してさらに狭くなることについて、各方面から不満や異論はあったのですが、複合化することのメリットのほうが大きいという市の判断で、その説得を続けることになりました。このマスタープランを策定するに当たってマスタープラン検討委員会という組織がありました。地域住民の代表者、保護者の代表者、先生の代表者、そして市役所の担当者などが協議会を構成し、学識経験者の方々も入る。この委員長が長澤悟さんだったのです。プロポーザルで選定されてからそのことを知り、驚きました。我々としては案を最初に提案するよりも、どんな可能性があるのか、あらゆる可能性をきちんと議論して検討委員会で決めていったのです。もともとの敷地はおにぎり型で、隣に諏訪神社があり、第二グラウンドがあるという状況で、どこに校舎を配置するのか検討しました。そしてこの第二グラウンドの敷地に体育館と学習棟という大きなものをつくろう、と。この柴崎学習館は、大きな講堂も含まれますので結構な規模になります。そこで、ここに学習館と体育館を置くというプランを確定させた上で、他の配置を検討しないと身動きがとれなくなったのです。そういう確定事項に対してどのような配置が考えられるかを検討することになりました。

 

この比較表に示すように、校舎の東側配置案、北側や西側、南側配置案などを考え、それぞれのメリット、デメリットを書き出して検討しました。そのように問題意識を共有し、マスタープランを決めるための(プレ)プランを考えました。その結果、施設建物を東側にまとめたほうが体育館・学習館との連携が良くなり、一方で、グラウンドと諏訪神社の緑が連続していくようになり、良いだろう、という判断をしました。

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