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第60回 「最新の学校施設づくりについて」 その1~次世代へ繋ぐ学び舎を考える~長寿命化

2015年9月17日(木)
講演会/セミナー

●北里大学獣医学部十和田キャンパス(新築建替えリニューアル 同敷地/居ながら/地方型再編)

 

丸野 続いて「北里大学獣医学部十和田キャンパス」の新築・建替えリニューアルについてご紹介します。まず、立地としては青森県十和田市の広大な敷地になります。38ヘクタールの広さです。雪国のイメージがありますが、思ったほど雪は降らず積雪量もそれほど多くはないのですが、とても寒いところで、最低気温がマイナス10数℃になったりします。このキャンパスは十和田の市街地から2キロ程度離れた立地で、用途的にも無指定の地域になります。防火・準防火地域の指定もありません。そのようなロケーションで計画を行いました。図に示すような敷地の中で、研究ゾーンや、家畜ゾーン、農場ゾーン、グラウンド・馬場ゾーンなど大きくエリア分けがなされています。獣医学部の2年生から6年生までがここで学ばれることになります。実際に計画させていただいたのは、こちらのA棟とB棟になります。このキャンパスの中では馬が散歩していたり、羊や山羊がいたりする非常にのどかなキャンパスです。農場に近い雰囲気があり、夏に草原の場所が冬は雪原に変化します。計画から工事(竣工)まで約2年の計画です。私たちが考えたコンセプトとして、まずは顔作りを重視しようとしました。これが計画時に描いたパースです。A棟とB棟の間には、このようにキャンパスのメインストリートが通っておりますので、それに対して顔作りをするのが1つのテーマだと思いました。この黄色で着色した部分は、ラウンジなど学生さんがメインストリートに面してコミュニティを形成するようなつくり込みをしようと計画を進めていました。
*完成予想CGや写真を多数紹介しながら外観、プラン、細部等を説明。

 

 この2棟ともが免震構造です。安全性という点で採用させていただいております。ファサード、顔作りという点に関しては、地場の針葉樹と、その木立の下に人が集まってくるシーンをイメージし、外壁もそれをイメージできるようなものにしました。見る位置、時間によって外壁の表情が移ろうようなファサードとしております。またキャンパス共通のアースカラー(オレンジ系)については、こうした色を各所に配置するような計画にしています。
*この後、地盤、構造、フレームの計画等について詳しく図解。また、設備と給排気計画に関しても写真と図で解説。研究室内をフレキシブルにレイアウトできるよう可変性を持たせたことや、実験室から小動物が外へ逃げ出せないような特殊な工夫などにも触れた。またセミナー室は可変間仕切りで少人数、大人数の切り替えが可能なことを写真で紹介。

 

 この計画の中で、獣医学部という性質を活かし「サイン計画」をできるのではないかと、教職員の方々とコラボレーションしながら考えました。それは建物を教材化する、という試みです。講義室や実習室、研究室などにテーマを設け、例えばトイレでは男性と女性のサイン代わりに、動物や昆虫のオス、メスをグラフィック表現による見極めの教材とし、階段室では日本の動物と海外の動物を選択し、その動物の原寸の足跡を誘導動線としてサイン表示しました。それから先生方の研究室では、各先生から専門の研究テーマに即した写真素材を数点いただき、それに合わせたグラフィックのサイン表示を設えました。
*それら写真を多数見せながら紹介。

 

●日本大学豊山中学校・高校 (新築建替えリニューアル 同敷地/居ながら/都心型再編)

 

 続いて、日大豊山中高の事例を紹介します。こちらが外観です。まだ工事中で、現在は1期工事を終えた段階で、これから2期工事に入ります。ロケーションは護国寺にあります。敷地としては、先の鎌倉学園中高さんと同じように隣に護国寺というお寺さんがあります。下階のスタジオに模型を展示しましたが、都心型、同じ場所で建替えるという計画です。地下2階、地上11階の建物になり、約2万5000㎡程度の建物になります。護国寺を含めて周囲には豊かな緑があるロケーションであります(商業地域・第一種中高層住居専用地域 防火・準防火地域 第一種文教地区 77/406%)。ここでは「連担建築物設計制度」というものを活用させていただきました。隣に移設する護国寺さんの敷地があります。連担制度を使って、隣地斜線がかからないなどの緩和的仕組みをうまく取り込み高層積層型の建物を計画しています。

 

この図のように着手前はこのような状態で、まず護国寺さんの駐車場を解体して、そこに仮設校舎を計画します。仮設校舎ができた時点で既存の校舎を解体し、その空き地ができたところに1期工事の建築物を計画します。その後、2期工事となります。下の模型にあったように大きく2つの建物で構成されます。このふたつの棟の間にアトリウムを設けています。中学・高校では非常に珍しいと思いますがエスカレーターを設置しています。また構造的なチャレンジとしては、地下の部分に大構造のスパンをとばし、アリーナを設けています。一方、最上階にはプールを置き、その間に教室等が積層される構成になります。平面については極めて単純にロの字に廊下を回す計画になっており、真ん中にエスカレーターやアトリウムの空間があるというものです。なお、窓周りについては高層のキャンパスですので、開閉、通風に関して難しい問題が発生します。いまこの写真に見えている窓は、転落防止や物を落とす心配が無いよう、窓が開かないようになっております。ただし、この真ん中の部分はアルミのパンチングメタルの仕様となっており、ここを開けて換気できる仕組みになっております。
*多数の写真で1期工事を終えた内観と外観を詳しく紹介。

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