イベントレポート詳細Details of an event

第58回AGC Studio Design Forum
U-35 Young Architect Japan. 開催記念トークイベント 第一部

2015年4月24日(金)
講演会/セミナー

第一部 優秀賞プレゼンテーション 

 


岩田知洋氏、山上弘氏
「木漏れ日のテント」

 

山上  こんにちは。岩田・山上建築設計事務所の山上です。私が代表して発表を行います。さて、今回は残念ながら優秀賞になり、このスタジオでの実寸展示はかないませんでしたけれど、私たちが提案した作品「木漏れ日のテント」について、簡単にご説明いたします。

 

 提案をご説明する前に、ガラスの建築と工法について、少し説明します。ガラスは最初、粘土で型をつくって、そこへ融かしたガラスを流し込んで成形する型押し工法から吹きガラス工法など、工法がさまざまに生み出されて、その工法から生活の一部として窓に使われ、中世には着色によるステンドグラスなどといったものが生まれました。近世に入ると、大型化や量産化に伴い、使用目的がはっきりし、そこからフロート法なども誕生しました。ガラスの使い方を先に考え、それを生活に落とし込む中世の時代から、近世に入ると使い方が「窓」であると、明確になって、そこから製造方法が編み出されたのだと感じます。近世を基準に、時代が変わったとの印象があります。

 

こうしたガラス建築と工法の関係性に関して、僕らが何かをできないか? ということを考えました。そして僕らが提案したのは、建築におけるガラスの印象を切り口に考え、硬さや冷たさ、また透明性や反射など、現在の建築に使われているガラスは直線的で無機質なものという印象がありますので、そこに柔らかさやしなやかさなど、新たな工法でこれまでとは正反対の性質を加えることで、ガラスの未来を考えてみるということでした。

 

ガラスを建築する手法はいくつかあるのですが、私たちは「編む」という手法に着目しました。ガラスを編むと、例えば、直線ではなく曲線、無機質ではなく有機質な印象を生み出せます。小口に新しい反射が生まれたりしますし、面だったものがガラスの集合体になるわけですから、木漏れ日のような陰が落ちて、空間に移ろいのようなものができるのではないか、と考えたわけです。この編み方にもいろいろ考えられ、例えば六つ目編みや、四つ目編み、丸い形状をつくるには竹編み、伸縮性を強くするならカギ編みを使うなど、さまざまに考えられます。

 

そんな中で私たちが考えたのは、六つ目編みという、構造を形成する上でいちばん適した編み方に着目して、ガラスを建て込んでみてはどうか、と考え一次審査の段階では提案しました。一方、素材についてはSPOOLという0.05ミリ厚の超薄型ガラスを使おうと考え、それを六つ目編みにしてカゴのようなものをつくり、その中に空間をつくろうとしました。この絵のようなものを想定して最終審査になったのですが、実際には、SPOOLが薄過ぎて柔いという問題が生じました。2枚重ねで編んでいますが、柔らか過ぎてこのような形にはならず、展示条件である3メートル角の敷地条件に合わせて構造計算をすると、正確な計算が難しく、実際に展示するためには1分の1模型をつくってある程度の期間を経なければ安全性その他を確保できないという結論に至りました。仮に7メートルから9メートルの範囲で、このSPOOLを使いカギ編みをすれば、この絵のようなかたちができるのではないかと考えています。

 

 私たちが提案したかったのは、先に話した歴史のこともあるのですが、使い方をある程度想定して、それに伴ったつくり方を考えていくのではなく、一度原点に戻り、手法や工法から、つまりガラスを編むということから考えることによって、今までになかったガラスの使われ方ができたり、これからのガラスの未来を切り開くような提案をできるのではないか、と考えたわけです。以上です。

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