イベントレポート詳細Details of an event

第53回 AGC studio デザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.12 「新しい建築の楽しさ2014」展連動企画
「新しい景観をつくる」

2014年12月18日(木)
講演会/セミナー


木下 風景という観点で言うと、ちょうど右側にあるマンションが対照的で、いわゆる普通にある集合住宅のファサードです。また左側にあるのがオフィスビルで、連続した水平窓が開いている状況です。この右側のマンションの成り立ち(ファサード)について、どうしてそうなってしまうのかを考えると、さまざまなディベロッパーが、デザイナーや建築家などを使っていろいろと装飾するのですが、根本的に水平に連続するバルコニーの形式が崩れていきません

 

なぜ、そうかと言うと、1つは単純に採光面や法規の問題ですね。いちばん大きいのは避難経路としてバルコニーを使わなければいけないことです。またもう一つは容積率の面で最大効率を達成しないといけないため、このようにスクリーンを立ててしまうと、バルコニーの開放性が低くなって、容積が発生してしまうということです。私のプロジェクトでは千鳥状のスクリーンにしますが、その場合、やはり避難経路が問題になります。

 

そもそもスクリーンを立てて床面積に入ってしまうと流用性が落ちてしまいますので、スクリーンの入っているバルコニーから床を抜いてしまおうと考えました。そうするとバルコニーとしては(下階から見ると)2層分吹き抜けた高さのバルコニーになるのですが、そうした上で、避難も、はしごで2層一気に降りてしまえばいい、と考えました。通常だと1層ずつ降りては横にズレ、また降りては横にズレ、を繰り返すのですが、この物件では、偶数階の人は(奇数階を飛ばし)偶数階に下りて、横にずれ、また偶数階へ降りるということになります。

 

2フロア分降りるのはちょっと恐いかな、と思ったのですが、半分はレンガ積みスクリーンに覆われているし(吹きさらしに比べ恐怖感が抑えられる)、はしごの乗り換え階数も半分に減るわけで、いいのではないか、と。(既製の)避難用はしごの長さにも限界があるのですが、それもギリギリ足りて、法的にもオーケーということになりました。実際にできてみると、こういう形で、上の階と下の階は専有部として切れているのですが、共用部としては吹き抜けを介してつながっていることになります。見上げると、こんな様子です。バルコニーの奥行きが浅いので、見上げたところで上の階の部屋の中まで覗ける状況でなく、空間がつながっていてもプライバシーはきちんと守られます。*写真をいくつか紹介

 

 基本的に1つの住居に対してスクリーンとバルコニーのセットが1つずつあります。都会の集合住宅の、水平に連続したバルコニー開口では、カーテンを閉めっぱなしの状況が生まれやすいのですが、ここではそういうカーテンによるオン・オフだけではない状況が生まれます。バルコニー側のカーテンを完全に閉めたとしても、スクリーンのところはカーテンを閉めなくてもプライバシー上の問題は起きないと思います。
*室内側から見たレンガ積み部分の写真や1階テナント部分の写真を紹介してプレゼンを終了。

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