イベントレポート詳細Details of an event

第52回 AGC studio デザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.12 「新しい建築の楽しさ2014」展連動企画
「新しい設計体制を構築する」

2014年12月10日(水)
講演会/セミナー

稲垣 最後に「マルチレイヤードフレーム」、意匠と構造、環境の統合に関して説明します。「マルチレイヤードフレーム」は文字通り多層性を持ったフレームです。複雑さを持った全体を3次のフレームとして、コートビレッジの要素を分類します。

 

まず一次のフレームは、先にご紹介した「深い陰が生じる東アジアの集落」における軒下空間の実現になります。集合居住に交流の可能性を持たせる、建築を開いてくれるこうした軒下空間をつくる門型のフレームです。高さの異なる立体的なフレーム、図の緑色の部分を組み合わせることでプランニングを行い、ボリュームの計画をしています。ここではそのボリュームの中を通り抜ける風のシミュレーションしており、当初は、周りの住居を含めた地域レベルでのシミュレーションも行い、段階的に建物の風環境を詳しく検証しています。また最終段階では半屋外で風の滞りの起こるデッドスペースをなくすように検討しました。

 

夕景では、こういった軒下の空間が浮かび上がってきますが、構造としてはこの一次フレームと呼ぶ門型のボリューム、床は2×4、壁も内外ともに構造用合板を貼って耐震壁として、2階の水平力がそのまま接地しているボリューム部分に伝達する仕組みになっています。二次フレームは、この左側の複雑な図になっています(カラーの図を用いながら各要素を詳しく解説、環境に配慮した意匠と構造の擦り合わせについても述べる)。三次フレームというのは、時間や季節によって移ろう要素を指します。屏風や天井・屋外ファン、すだれ、日射スクリーン、環境調整を行うものとして設計しています。また物干しやハンモック、ベンチや外部の棚など、生活するうちに増えていくもの、従来設計の対象とならないものまでも三次フレームとしました。

 

この写真にあるような集落や都市空間の中に見てとれるような、場所を快適にするために現れる要素に注目し、それを居住者が簡単に調整し、移動させることで、空間を運営していることが大切だと考えました(設計における、北風の流入を居住者が自分で調整する屏風の仕組み、屋外棚の設置に関する工夫、身体スケールを持ち屋外の営みを支える独立柱などについても紹介)。

 

このようにマルチレイヤードフレームでは、意匠・構造・環境の働きを担う要素が横断し、重ね合わされています。要素が複数の機能・意味を持って現れ、建築の全体をつくりあげています。生活の異なったレベルに属しているだろう、多様なモノ、コトを、一つのフレーム、ダイアグラムと言って良いかもしれませんが、一刀両断にすくいとるように設計するのでなく、段階的なフレーム、編目によって、多様な生活を差別することなく巻き込み、複雑な全体をつくりあげていくことを目指しました。 私の発表は以上です。

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