イベントレポート詳細Details of an event

第51回 AGC studio デザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.12 「新しい建築の楽しさ2014」展連動企画
「リノベーションは多様化する」

2014年11月20日(木)
講演会/セミナー



久保 まず、1期工事として婦人風呂の改修を行い、2期工事で食堂まわりを改修します。1期工事はこのように1階が婦人風呂になっており、その上階の一部が通路になっています。

 

これが最終案として出した、実施される予定のプランです。ここが女性用のお風呂で、上に吹き抜けがあり、そこから湯気抜きと採光をします。(吹き抜けでない半分の)天井の上は、本館から別館に移る通路なのですが、非常に眺めのいい場所なので、風呂の天井の曲線に沿ってベンチを設けています。

これが断面図です。ここに湾曲したスラブを入れています。このスラブにもたれかかるように座ると、いい眺めが見られます。また、上から光を拡散させて落とすと、お湯の特徴である、きれいな透明度が強調される効果もあります。

 

ちなみに温泉では空気の流れが非常に重要となります。掛け流しのため湯気がモクモクと上がっていくので、それを上手に排出しなければなりません。そこで、そういう気流の研究をしている東京理科大学の高瀬さんに依頼して、シミュレーションをしてもらいこの曲面のスラブが有効だと分かりました。これが断面模型です。これが内観です。給気窓から入った空気が湯船で暖まり、スラブに沿って上昇していき、トップライト脇の排気口から排出されるという計画です。

 

なお、本館と別館の間には床に段差があり、その階段を曲面床に取り込んだデザインにしています。これがそのベンチからの眺めです。紅葉が非常にきれいなので、それもこの場所に投資する価値の1つになります。こちらが構造の計画です。曲面床を屋根で支えています。これが外観です。開口は大きな引き戸になっていて、これを開けると湯上がり後に外の風を浴びられて気持ちがいいのです。昔の建物は外縁が廻っていましたが、その時も、そのように外の空気を浴びられたはずなので、それを再現しました。

 

こちらが二期工事で、まだ計画を進めているところです。旅館では複数の場所で工事をしますと営業の妨げになりかねませんので、工事を分散させるのが非常に重要になります。小さな改修を積み重ねるのは有効だと思います。二期工事は1年後くらいにできればいいと考え、基本方針は固まっているのですが、細部は検討しています。ちなみに1期工事は3月に竣工予定です。

 

中崎 このプロジェクトについては、今後、日本の中で観光産業が重要になっていくだろうと思い、その中で既存の温泉旅館をどのようにリノベーションしていけばいいか、という問題意識で取材をしました。

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