イベントレポート詳細Details of an event

第51回 AGC studio デザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.12 「新しい建築の楽しさ2014」展連動企画
「リノベーションは多様化する」

2014年11月20日(木)
講演会/セミナー



松井 一方、2階の各居室は、もともと保養所なので、ぐるっと外周を覆うように配置されています。その内側が中廊下になっており、その内側の、柱に囲まれたが部分がバックヤードだったのですが、(壁も外して)そこを共有スペースにしました。このように2階に関してはパブリックとプライベートの関係が、1階とは反転するようなプランになっております。各部屋から出ると、そこがパブリックの空間になっており、柱まわりは本棚を置くスペースになります。居室の扉から出ると、そこに共用のライブラリーが広がっているイメージです。

 

この建物は地下に大きな娯楽スペースがあり、もともと自由に使われていたようですが、コンペの要項でも、ここは自由設計だったのです。我々の提案は、ここにものづくりを持ち込んで生活との接点を見つけようとしています。森の木を使って施設のための家具を作るなど、建物の新陳代謝を可能にするような施設にできれば、と思っています。(次のスライド)

 

この本体建物に付随しているこちらの建物は、保養所を管理している方々が住むスペースだったのですが、かなり朽ちており、中をそのまま使うのが難しい状態でした。そこで、壁や屋根を剥がしてしまいスケルトン状態にしています。インフラはそのまま利用して屋外ダイニングみたいなスペースを提案しました。森の中ということもあり、新しいインフラをつくるのが難しいのです。開発であれば、水や電気、ガスなど新しく引き込むことができますけれど、ここに来ている既存の水道管などは有効活用したいと考えました。(スケルトンにすることで、)住宅という機能をそのまま共有スペースに置き換えています。

 

先ほどの全体の配置図に戻ります。森のこの辺りに小さな工作物が置いて、森を共有するための手掛かりを作ろうと思っています。小さな部屋のようなものを点在させています。これは傾斜地をそのまま利用してデッキです。大きいデッキをつくるのではなく、自然の状態をそのままトレースするので、(必然的に)小さなデッキが出来上がっています。こちらは、また少し違う工作物で、少し高い位置に目線をおくことで森の中の生物の様子がよく見えるようにしています。これは家族用の露天風呂スペースです。木々を縫うように木材を並べ、目隠しを作っています。スライドは以上です。

 

大きな箱のリノベーションというところが、今回の焦点になっているのですが、おそらくこの先、こうした保養所や公共施設などのリノベーションが非常に増えていくのだろうと思います。時代が変化したことにより、その建物に求められていた機能や要求が変わりますし、また社会のシステムそのものが変わったとも言えます。今回のプロジェクトでも、企業の保養所としての機能は、社会的にほとんど必要とされなくなっていますからね。そうした中、大きな建物をどのように再利用していくのかが重要な時代になっていくと感じています。社会の変化によって、次の世代の人の使い勝手を考える必要性が出てきます。この別荘においても、(古い世代の別荘ではなく)僕らの世代の人が使う別荘文化というものを考え、広めていく、ということをクライアントは目指しています。

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