イベントレポート詳細Details of an event

第94回AGC Studioデザインフォーラム トークセッション
「EDIDAとガラスの緊密な関係 東京・ミラノからの最新報告」

2018年4月26日(木)
講演会/セミナー

ミラノ・サローネで見た、「ガラスを用いた新しいプロダクト」

 

安藤:今年のミラノサローネで展示されていた、ガラスをベースにしている新しいプロダクトをご案内します。「GLAS ITALIA」など有名メーカーのものは、いろいろな媒体で目にすることも多いかと思いますので、それ以外のものを紹介していきます。僕らが作品を発表していた、Rossana Orlandiのギャラリーに展示されていたものが中心となります。
 作品をセレクトするにあたって、キーワードを考えまして、まず「うつろい」というテーマが出てきました。モヤッとしていたり、カタチがバチッときまっていなかったり、あまりマッチョでないものだったり、カタチがマッチョだとしても作り方はナイーブだったり、すごく「うつろい」があるなぁ、と感じました。その一つのキーになってくるのが「光」で、光の見せ方、ガラスを通じた光の捉え方だったりする。また、プロダクトが持つ緊張感である「張り」も関係してくるだろう、と。
 僕たちが今いるフィールドは家具やプロダクトなど、ややモノよりでして、そういう目線で見たものとなりますが、ご覧いただければと思います。

 

:一つ目は、Germans Ermicsの作品です。ラトビア出身で、オランダを拠点としているデザイナーでして、昨年から今年に富山県立美術館で開催された「素材と対話するアートとデザイン」展にも、作品がピックアップされていました。
 こちらはガラスを使った作品でして、見てわかるとおり、倉俣史郎氏にインスパイアされていて、椅子と鏡があります。ガラスとガラスの間に特殊なフィルムを挟んで、このような表現を施しています。

 

佐藤:下にあるnendoの佐藤オオキさんの作品「ディープシー」なども、間にフィルムを挟んでいて、たぶん同じ構造ですね。

 

:そうです。Germansは、昨年もミラノサローネに出品していて、その時に仲良くなり、いろいろな話をしています。彼も、僕たちと同様に、リミテッドでこのような作品を作り、いろいろなギャラリーを通して展開するやり方で活躍しています。

 

安藤:とてもきれいなんですよ。視点が変わると、奥のレイヤーの色の見え方が変わってくる。今回はダークな色合いですが、彩度が高いものも作っていて、それもすごくきれい。元々はグラフィックとアートディレクションをやっていて、その後、ガラスを使ったプロダクトのデザインをやり始めた人です。ガラスを建材としても用いており、コミッションワークとして、建築家と組んでインテリアのガラスを作ったりもしています。
 ちょっと話が変わるのですが、Rossana Orlandiのギャラリーではリミテッドのものばかり扱っているのですが、そのなかに、アルミ製のすごくかっこいいテクスチャーの椅子がありました。いいなあ、と思って見ていたのですが、その後、ミラノ郊外にあるプラダ財団のミュージアムを訪れた際、建物の外装材に、先程述べた椅子とまったく同じ素材が使われているのを見つけました。
 つまり、そのデザイナーは、椅子をステートメントとして製作し、コミッションとして外装材を作っているという流れがあります。Germansも、同じような流れをとっているのではないかと思います。

 

:次は、スペインのマドリッドを拠点にしている二人組、Mayice Studioの作品「Filamento」です。このガラスの照明は全部で5mくらいの長さでして、一つのユニットが1m強くらいで、それが4つ連結しています。

 

佐藤:手吹きですか?

 

:手吹きです。映像があるので、それをご覧いただきましょう。[映像 上映]
 スマホのアプリケーションで照度を調整できるようになっていて、この銀色になっているところにしか、光源は入っていません。そこのLEDが光ると、他の部分に映り込んで、反射で光っているように見えます。光源の強弱を調整できるため、後ろにきれいな影を生じさせることができます。
 作り方の映像もあり、回転している旋盤のような工作機械に円柱型のガラスを嵌めて、熱してカタチを作っています。これはフランスの工房ですが、このような高度な製作技術を持っているところは数少ない、とのことです。かなり注目を集めた作品で、多数のメディアにも取り上げられていました。

 

佐藤:照明に関しては、LEDが普及した関係で、カタチがとても自由になった印象があります。コミッションワークのような仕事が増えましたよね。

 

林・佐野:そうですね。

 

安藤:照明の役割も変わってきているかな、と思うのですが、とくにRossana Orlandiに出展しているデザイナーの作品は、なおさらその傾向が強い。手元を照らす照明を作っている人はあまりいなくて、ペンダントライトやテーブルランプなどは、空間を演出する照明にシフトしている感じがします。今回のサローネでは真紫の照明などもあり、かっこよさを追い求めた作品、という印象でした。照明の役割がどんどん変わってきているのだろうな、と思います。

 

佐藤:そうですね。

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