イベントレポート詳細Details of an event

第93回AGC Studioデザインフォーラム トークセッション
「ガラスの新たな可能性を探る」

2018年2月22日(木)
講演会/セミナー

木田隆子(ELLE DÉCORブランド・ディレクター)

佐野 文彦(建築家、美術家)

木原幹夫(AGC旭硝子 一級建築士)

 

エル・デコとエディーダの関係-ワイドスパンなデザイン・アワード

 

木原 こんばんは。これから「ガラスの新たな可能性を探る」というテーマでトークセッションを始めます。最初に本日の登壇者を紹介いたします。私の隣にいらっしゃるのが佐野文彦さんです。今回の展示会場構成、並びに作品を展示いただいた作家でいらっしゃいます。現在は建築家、美術家であられまして、奈良県でお生まれになり、有名な数寄屋大工の棟梁、京都の中村外二さんの工務店に大工として弟子入り後、年季が明けた2011年に独立されました。現場を経験されたことで触発された構法や素材、寸法感覚などを活かして日本の文化を掘り下げた作品をつくっていらっしゃいます。また、新しい価値をつくることを目指して、建築、インテリア、プロダクト、インスタレーションなど国内外で領域を横断するような活動も展開されています。2016年には文化庁の「文化交流使」となられ、海外での活動も行っておられます。セッションに入る前に、佐野さんから、最近の作品について少しご紹介いただけないでしょうか。

 

佐野 佐野と申します。今、画像に出ておりますが、常に「日本的な空間は何か」ということを考えながらつくっておりまして、構法や材料も含め、新しいものも、例えば今回のガラスも素材としてはそうなのですが、レーザーカッターなど新しい技術も使いながら現代における日本の文化と建築を考えながら、こういうものをつくっています。
*画像を示しながら、いくつかの作品をさらっと紹介。

 

木原 どうもありがとうございました。続きまして、木田隆子さんをご紹介します。木田さんはエル・デコのブランド・ディレクターを務めておられます。1990年、『フィガロ・ジャポン』の創刊に関わられ、副編集長に就任。1998年には『ペン』の創刊にも関わられ、後に編集長にも就いておられます。2005年からはハースト婦人画報社にて『エル・デコ』の編集長に就任し、2014年7月から現職のブランド・ディレクターになられ、現在に至っておられます。今回、エル・デコさんとAGCがコラボして展示会を開催するにあたり、お世話になっております。木田さんからも一言お願いします。

 

木田 ご紹介ありがとうございます。みなさん、下階の展示はもうご覧になりましたか。 非常にパワフルな展示なのですが、表題を「GLASS EDIDA/グラス・エディーダ」ということにさせていただいております。この「エディーダとは何か?」「エル・デコと組んでいることの意味は?」ということについて知りたい方が多いと思いますが、ここから先、簡単にご説明できるかと思います。今日はよろしくお願いします。

 

木原 ありがとうございます。では、私も自己紹介をいたします。僭越でございますけれど、ここAGCスタジオでイベントやセミナー等の司会を担当というか、いつも最初のご挨拶だけをして「それでは、お願いします」とゲストにお任せするだけの立場(笑)だったのですが、今回は展示会の会場構成や、製作の現場に立ち会いましたので、ガラスを専門に扱ってきた立場から、ガラスの魅力を語っていこうと思います。経歴としては旭硝子に入社して以来、商品開発やマーケティングなどに携わってきており、近年は日本板硝子協会という業界団体にも出向しておりました。その際、エネルギー政策や外国の事例などを見て回った経緯があります。2013年からはこちらのAGCスタジオで技術アドバイザーという役職についております。今日はよろしくお願いします。

 

木田 ここから先は、私が進行役を務めさせていただきます。今回の「グラス・エディーダ」展に関してですが、グラスというのはガラスのことですよね。一方、エディーダについてはご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、簡単にエル・デコとエディーダについてご説明いたします。佐野さん、この画像について何か言いたいことありますか?

 

佐野 これは今回取り組ませていただいた会場構成のラフ・パースです。現在はこのスタジオの前にある、東京メトロ京橋駅の4番出口に工事用の仮囲いが建っておりまして、実は、このアングルで見ることはできなくなっているんですよね。本来は、こういう風に外から見えるはずなんですよ(笑)。そういうことを想像してもらいながら下階の展示を見てもらえると嬉しいです。

 

木田 なるほど。これは幻の視覚なのですね。本当にシンプルながら2つの素材が合わさっていく、とてもいいサンプルを見せていただいたと思いました。ご苦労なさった点がいくつもあるようなのですが、それは後ほど話してもらいましょう。その前に「エディーダ」につながっていくところを簡単にご説明いたします。まず「エル・デコ」についてですが、みなさんご存知でしょうか。世界33の国と地域でトータルの読者数が890万人くらいいる非常に大きなインテリア・マガジンの世界的なネットワークなんですね。画像に、その国と地域が表示されておりますけれど、この地図などを見ていただくと、ヨーロッパを中心に新興国を含め、アジア、アメリカ版もすごく大きいですし、南米にもあります。そんな雑誌を私たちはやっているんですが、そのエル・デコは「エル・デコ・インターナショナル・デザイン・アワード」というアワードを持っている雑誌になります。これは世界のエル・デコの編集長が13部門に渡るデザイナーとプロダクトを選出するというもので、ミラノ・サローネでこの受賞パーティーが毎年開かれるのです。エディーダというのは「エル・デコ・インターナショナル・デザイン・アワード」の頭文字(E,D,I,D,A)をとったものです。画像に並んでいらっしゃるのは歴代のエディーダのデザイナー・オブ・ザ・イヤーのみなさんで、今をときめく方々がほとんど入っています。私が編集長を務めるようになったのは2005年の12月からなんですが、その後、ラッキーなことに深澤直人さん、吉岡徳仁さん、その2年おいてnendoの佐藤オオキさんが、国際舞台で、国際的に認められているデザイナーというかたちでこのひのき舞台に上がってこられました。近年では中国がデザインの分野ですごく力を付けてきておりまして、工場の力量もすごく上がってきていて、デザイナーも生まれてくるだろうな、と思っていたら、この人たち、ネリ&フウですね、去年4月にエディーダのデザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。この人たちを筆頭に、これから中国はまだまだいろんな人たちが出てくるだろうと思われます。エディーダの13部門にはデザイン・オブ・ザ・イヤー、ヤング・デザイン・オブ・ザ・イヤー、それからファブリックだとかファニチャーとか、ライティング、アウトドア、バスルームなど、インテリアに関わる全ての分野に関して表彰するという非常にワイドスパンなデザイン・アワードとなります。

 

エディーダはミラノで本選が行われるのですが、エディーダ・ジャパン・ノミネートというものがあり、ミラノ・サローネが開かれる前年の秋に、それぞれのエディションがパーティーをやって、誰をそのデザイン・オブ・ザ・イヤーに、また13部門に推薦するかを公にします。その時に日本独自の賞としましてヤング・デザイナー・タレント賞というのを設けておりまして、今日、ここにいらっしゃる佐野さんは2014年にこれを受賞していただきました。そして受賞した人は、インスタレーションをしなくてはいけないのですが、青山のネクサスで茶室をつくっていただいたのですね。ちょっとこれを説明していただいてもいいですか。

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