イベントレポート詳細Details of an event

第50回 AGC studioデザインフォーラム
U-35設計競技 「多様な光のあるガラス建築」 公開審査

2014年10月17日(金)
講演会/セミナー

「Flow」プレゼンテーション 植村遥氏

 

植村 植村です。よろしくお願いします。

 

私が提案したのは「FLOW 都市と街に架かるガラスのカーテン」です。私が街の中で見るガラスは、だいたい真直ぐでストレートなラインのものですが、一方で、ガラスの器などは職人さんが息を吹き込んで生まれ、ムニュとした生々しいものというイメージがあります。そのような生命の息吹みたいなものをガラスで表現できれば、と考えました

 

私が活動していたオランダでは、都市や街にたくさんの色があるのですけれど、日本に帰ってくると、街にはあまり色がありません。街にライフを与える意味で、ガラスを使って色彩し、人と街と、人と人をつなぐようなものができ、そこにアクティビティを持たせることによって、人のライフスタイルの新しい可能性を提示できるのではないか、と考えました。

 

オランダの建築家ヘルマン・ヘルツベルハーは「光は周りを照らし、人とその特徴、その継承と空間を融和している」と著書の中で述べていますが、まさにそういった空間を目指しています。また、この色彩はオーロラからとってきています。オーロラは環境や気温などによって色を変えていくのですが、都市もそれと同じようなものではないかと思います。

 

コンセプトは、物質としてのガラスから発せられる空気をデザインできれば、そしてつながりを生み出すことにより、新しいガラスの可能性を示唆することができるのではないか、と考えました。こちらがカラーダイアグラムになります。またこれがパビリオン全体のデザイン像です。

今回のガラスは当初、岩田・山上さんも提案された「SPOOL」を使用しようと思っていたのですが、「Leoflex」を使おうと思い直しました。Leoflexを2枚合わせて中にプリントされたフィルムを挟み、それらで形をつくっていきます。1枚1枚の形は、このような形状でつくられていますが、いちばん端と、こちらの真ん中にビス用の穴を開けてあり、それでスタッキングさせる構法をとろうと思います。

 

今回の展示に関しては、この平面図のような形状を構想しております。ガラスパビリオンを縮小させて、その一部分を展示します。このような流動感のある形です。なお、プリントについては、当初、ガラスに直接印刷するつもりだったのですが、その場合、色をきれいに出すには一度白い色を塗らねばならず、あまり遮光性がないということなので、急遽、フィルムを挟むという案に変更しました。また光を貯める蓄光インクを使い、夜になると、また違った雰囲気で輝き、異なる表情や動きが出るものにして人々の目を楽しませるようにしたいと考えております。

 

質疑応答)

 

太田審査員 Leoflexのことはどのくらいご存知なのでしょうか? まず、穴が開きませんよね。強化ガラスなので、先に穴をあけてから強化加工をしないといけません。僕も、このスタジオのガラス階段でLeoflexを曲げて使用してみたのですが、穴が開かないということで相当苦労しました。この辺の技術的なことは相武さんにお聞きしたほうがいいと思うのですが。

 

相武審査員 審査のこの段階ではあまり踏み込んで言いませんが、これだけ硬いガラスをつくっていますので、穴は確かに開けにくいです。イメージしていただくなら、みなさんが台所で使っていらっしゃるパイレックスという耐熱用のガラスがありますよね。あのガラスと一般の板ガラスの、ちょうど中間くらいの硬さ、強さなのです。それをさらに強化していますから、非常に加工が難しいのです。

 

もう一つ気になったのは、フィルムを挟んで軟化点まで温度を上げて、この形に曲げようとする際に、おそらくそこまで保つフィルムはないだろうな、ということです。通常、合わせガラスはオートクレーブでつくりますので、100℃~120℃くらいになります。それに色を付けて、ということはオートクレーブならできるのですが、その場合は曲げられないのではないかと思います。そうすると、コールドペインティングしか手はないのかもしれません。自分たちの製品ですが、そういう加工は自分たちでやったことはないので、できるのかもしれませんが、ガラスの特性上、難しいという気がします。

 

植村 キャスティング法とコールドフォーミング法のどちらも考えてはいたのですが、コールドフォーミング法では曲げるのが難しいのかな、と思いまして、キャスティング法を使おうと考えました。キャスティング法で曲げた後に、そのまま印刷をすることも可能ですので、フレキシブルに対応しようと考えております。また、穴を開けることについて、難しいのであれば、挟みながらスタッキングする方法も考えられます。それも一応検討した結果、穴を開けるという提案にさせていただきました。

 

佐藤審査員 私は、穴を開けられるかもしれない、と思っているのですよ(笑)。ぜひ、試してほしかったのですが、ゆっくり丁寧に開けると、開けられるのではないかと思うのですけれど、植村さんはガラスを割ったり削ったりした経験はありますか?

 

植村 はい。

 

佐藤審査員 かなり大変ですよね、削りにくいですよね。ものすごく時間がかかるので、どうかな、という気もしますが。本当はキャスティングができると非常に魅力的です。ぜひ、試みてほしいと思いますが、できたとしても相当な時間がかかります。炉を準備するところからなので、現実的にはコールドフォーミング法になると思いますが、チャレンジして欲しい、という気はします。それと、オーロラの光学的特性みたいなものを研究して、それを反映させるということはやらないのですか?

 

植村 そこまで時間がなかったのですが、オーロラを実際に見た時、すごく美しいと思いましたので、その流動性が、街の中にあるネオンだったり、車が行き交う灯りだったり、それと人間の調和が提示できれば面白いと感じております。それに気付く、ということを提示したいのです。

 

佐藤審査員 実施にあたっては、オーロラの特性を生かすといいのではないか、と思います。

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