イベントレポート詳細Details of an event

第47回 AGC studioデザインフォーラム
AGC studio Exhibition No.11連動企画
「あなたと、あなたの大切な人を守るために」

2014年9月13日(土)
講演会/セミナー

第一部講演「生活継続の観点からみたマンションのリスクと課題」

 

 

村田 今日は、東日本大震災でのマンション被害と居住者の方々の取り組みについての調査結果を報告します。
それをもとに、ライフラインの被害と課題を浮き彫りにし、生活継続計画(LCP)と備えについて考えます。
何よりも大事なのは、マンションの中で誰が主体になるのか?という観点です。備蓄や設備が整っていても、主体がしっかりしていないとうまくいきません。その意味で、自治会や自主防災組織のあり方についても少し触れます。

 

 さて、都市のマンションでは、大地震後の生活継続対策は不可欠です。東日本大震災の時、仙台のマンションでは停電や断水の中、避難所へ行くこともできずにマンションの中で生活を維持していた方々が多数おられました。そこで私たちは2011年5月から2012年6月にかけて仙台市と首都圏の計14件のマンションに対してヒアリング調査を行いました。

 

 その調査結果を報告する前に、被害状況を把握しておきます。東北マンション管理組合連合会が行ったアンケート調査で見ますと、全壊など大きな被害のあったマンションが限られる一方で、一部損壊が多数見受けられます。外壁の亀裂が76%、タイルの剥落が51%、エントランスの損傷26%、受水槽の損傷・破断が25%、エキスパンションジョイントの損傷も27%のマンションで報告されています。さらに玄関ドアの変形30%、天井の損傷24%など。このうち受水槽の損傷・破断はライフラインの維持に問題を生じますし、玄関ドアが変形して開かないようになれば、避難するうえで、非常に大きな問題になります。

 

 被害の写真をご覧ください(外壁の損傷やドアの変形、エキスパンションジョイントや受水槽の被害、地盤沈下や抜け上がりなど多数の事例を写真を使いながら紹介)。

 

次に、私がヒアリングしたマンションの概要を紹介します。表にあるように、14件で50戸程度の小さなものから、200戸、300戸というもの、さらには1500戸、1900戸近くと言う大規模なものまで対象に調査しました。大規模マンションが多いことから、自治会や自主防災組織を運営しているところも多かったです。竣工年は1980年代から2007年のものまでありますが、建物被害は、仙台では半損程度、また浦安などでは一部損壊という結果になっております。

 

地震直後の避難としては、「1階のエントランスに下りて来る」「敷地内の広場に集合した」「隣にある大規模公園に避難した」というように、まず、避難した方々が多かったです。中には「周辺の歩行者の方々が1階ロビーに避難してくる」という例もあり、超高層マンションでは「30数階の最上階から下りてきてしまい、エレベータが動かなくなったために乳幼児を抱えたお母さんがおむつやミルクがなくて苦労なさった」という例もありました。
全部のマンションではないですが、一部のマンションできちんと災害対策本部を設置している事例が見られる一方、その全てで管理組合の理事の方々が揃っていたわけではなく、その時々でマンションの中におられた自治会の方々や防災会の方々、シニアの組織など、その時に活動できる状況にあった方々が災害対策本部を設置したというように伺っています。
 地震直後のマンションでは様々なやるべきことがあります。建物の被害点検や住民の安否確認などは最初にやるべきことですが、例えばこのマンションでは、管理組合が施設面の管理を行い、自治会が人的な安否確認をするなど、仕事の切り分けを行われたそうです。

 

また、支援物資の受付、情報提供・共有、各住戸へのボランティア活動、炊き出しや配食、避難所へのボランティア派遣など、チームを結成して非常に細かく組織立てて対応したマンションもあります。
安否確認については、完全に完了するのが長いところでは1週間かかったというところもあります。中の人が出てこない限り安否確認が難しいのですが、例えば、閉じ込められているとか、怪我をして問いかけに反応できないなどの事態も起こりうるので、例えば、この写真のような安否確認ステッカーをドアのところに表示する(避難完了、無事、救助求む、など)工夫が必要です。

 

*マンションの共用部で独自に準避難所を設置した例、マンション住民による共同炊き出しの状況、マンション設備・施設の点検と復旧の例、生活継続に関する工夫例(計画給水、輪番排水、情報共有、高齢住民へのサポート)など写真を用いて紹介。

 

 次に、電力や上下水道、ガス、また高層マンションでのエレベータなどライフラインが災害後どれくらいの時間で、どのように復旧されたか、またどのような課題があるかについて事例を紹介します。

 

*電力の復旧に要した日数の首都圏(半日)と仙台(2日)での違いや、自家発電設備およびその燃料の問題について。上水道では復旧に10日以上かかっていたが、高置水槽の水はすぐ空になるため、受水槽に緊急遮断弁と採水口を設けて計画給水の必要があること、停電で給水ポンプが動かなくなること、井戸を利用する計画など。下水道では地盤沈下や配管の破損等で排水ができなくなったり排水制限をせざるを得なかったり、水がなくてトイレを使えなくなった等の問題。都市ガスでは5日から20日間くらい復旧に時間がかかったこと、マイコンメーターの復旧方法の周知やプロパンガス、カセットコンロの活用などについて。エレベータの復旧に要した日数は首都圏で当日から3日程度、仙台では3日から3週間程度かかり、閉じ込めに加え、特に上層階の高齢者・災害弱者の移動や物資運搬のサポートが必要という課題を指摘。

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