イベントレポート詳細Details of an event

第45回 AGC studioデザインフォーラム
コミュニティ・アーキテクトによる子ども教育セミナー
~未来への防災まちづくり~

2014年6月21日(土)
講演会/セミナー

第二部 事例紹介 「杉並区内小学校における環境教育支援実施報告」

 

 

大坂 こんにちは。私は東京建築士会の杉並支部に所属しておりまして、建築学会さんと共同で学校に対する環境教育支援を行っております。環境教育は直接的に防災と絡まないのですが、環境を学ぶことによって、例えば災害時の電力が届かない時に、どうしたら快適に過ごせるかなど、学んだことを応用してもらい、結果として役に立てたらいいな、と思っております。
これを始めたきっかけは、建築学会さんが杉並区内で環境学習プログラムの作成というものに取り組んでおられました。実は私たち杉並支部は2012年にできたばかりの支部なのです。その支部の発足と同時に「環境教育については地域の建築士にお願いしたほうがいいのでは」という話になり、支部として建築学会に協力するかたちでスタートしております。現在は区内の2校、荻窪小学校と杉並第八小学校で実施をしています。

 

対象は3年生から6年生で、環境をテーマにした授業内容になっており、学校の教育の頻度に合わせて、その学年ごとに理解できる内容にしています。お配りした資料に細かな内容を記してありますが、まず3年生に関しては「人間温度計になろう」、4年生は「クールボックス/ウォームボックス大作戦」、5年生は「風の道を探せ!」と「光を使いこなそう」、6年生は「木のパワーを探る」となっています。

 

「人間温度計」は手や足など身体の一部で様々な場所を触ることによって、例えば日向と日陰の温度の違い、またコンクリートや水、木など素材による温度の違い、そういったものを数字ではなく自分の身体で体験してもらうというものです。みんなで体感してから検証し、その後に先生やわれわれ建築士が種明かしの説明をする、という授業になっています。これがその時の動画です。(動画を使った解説)

 

4年生の「クールボックス/ウォームボックス大作戦」では、一方向が開いたスチレンボードの箱をつくります。それを家に見立て、太陽に見立てたハロゲンライトを当て、そうすると中の温度があがりますね。それに対してすだれや緑のカーテン、熱反射ガラスなどを使うと、温度変化がどうなるのかを実験します。夏場は温度を上げないように、冬場は温度を下げないように、という温度管理について学びます。これにも動画があります。(動画での説明) 例えば、自分の家の夏場の温度をどうすべきかも実践的に考えられる授業です。

 

次に5年生の「風の道を探せ!」は、このように牛乳パックを使って簡易な風向計を作ります。これを学校のあちこちに置いてみて、どこにどのくらいの強さの風が吹いているかを調べ、建物の形状や場所にとって風がどのように変わるかを学びます。(動画紹介)このようにみんなが調べてきたものをマップの上に書き込んで風を学びます。

 

6年生になりますともう少し幅の広い内容になってきます。「木のパワーを探る」では木についていろんなことを学んでいきます。まず、この木のカルタを使って、かなりの種類の木を、手触りや匂いなど自分たちで体験して、同じ種類の木が2枚ずつありますので、それをカップリングさせるようなことをしています。種類の違いを学ぶわけです。
また、校庭にある木を、三角定規を使って高さを測る、ということもやります。算数でやっている学習を実際の環境に使えるということで、かなりおもしろがってくれます。またこの木の高さを測るだけではなく、木を円錐に見立てて、木の体積を算出し、それに対する二酸化炭素の固定量を試算する、ということも学びます。さらに、二酸化炭素の固定も含め、木の循環について、山に木を植え、育てて、それを家具にして長く使う、というサイクルが大切です、といったことなども併せて学んでいきます。

 

また6年生に対してはキャリア教育支援ということで職場体験授業もありまして、支部会員の工務店さんのところの会社で鉋をかけてみたり、木のコースターを作ってみたり、など大工仕事の体験をしてもらっています。

 

杉並支部としては、今期から新たにもう1校、教育支援を行うことになり、区内で3校の支援を行うことになりました。また、小学校だけでなく中学校へのプログラム拡大も検討していて、公立学校が小中一貫校になっていくことも考慮し、そうした要請にも応えようと動き始めております。
現在、建築学会さんと共同で取り組んでおりますが、杉並支部単独でもこれをやれるようになり、また地域の建築士会で同じような活動ができるための仕組みをつくっていきたいと考えております。なお、先ほどお見せしたビデオもそうなのですが、建築学会さんのほうで、授業の進め方のビデオや教材のデータなど全て入ったDVDをつくっております。ご興味ある方はご購入いただければと思います。

 

*この後、参加者がいくつかのグループに分かれ、ワークショップを開催。各グループの発表を経て終了。

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