イベントレポート詳細Details of an event

第45回 AGC studioデザインフォーラム
コミュニティ・アーキテクトによる子ども教育セミナー
~未来への防災まちづくり~

2014年6月21日(土)
講演会/セミナー

平田 これは東日本大震災の時の避難所の写真です。ここでは階段にまで人が溢れていて、最低限のプライバシーを守ることもできず、ものすごく辛い避難所になってしまったわけです。こういう時に間仕切りがあった方がいいでしょうか、そして間仕切りををつくるにはどうしたらいいのでしょうか? ここは話し合って間仕切りをつくらないことを選択したらしいのですが、間仕切りの必要性やその高さについて、みなさんの知識でお話ししてあげてください。
仮に、このような高さの間仕切りを立てると、このようになります。コミュニケーションがとれませんよね。こういう間仕切りの高さ一つとってみても、コミュニティによる価値判断・選択を迫られるのです。子どもさんと一緒にでもいいですが、間仕切りの高さをいろいろと試してみるのもいいでしょう。こちらは着替える場所だけを間仕切るというようにした避難所です。とくに女性が気になさいますよね。洗濯物をどうするのか、とか。避難所は家と同じですので、そこにみなさんの力を活かすことができます。
(避難所と仮設住宅の写真を示し、いろいろと解説)

 

一方、子どもの目線で考えてみましょう。子どもたちもいろいろなことを考えています。資料に、中学生が支援物資のコーヒーを配っていた時の対応で、大人たちのことを「大人げない」と感じた例、また高校生が高校生なりの役割を果たそうとしたところ、「手伝うな」と言われて高校生が憤慨した例を記してあります。

 

こうした中で、子どもたちに何を働きかけるのか、ということになりますが、まず、事前の訓練で防災意識を高めることですね。家屋の耐震性や家具の転倒防止、共助、地域防災力の向上を言っていただく必要があります。私も、子どもたちにそういうことを言うのですが、そうすると「じゃあ、うちの対策はどうしたらいいか」と急に自分の家の事だけ、家族の事だけという「内向きの発想」になっていくのが、多くあります。そうではなく、共助が大切だと教えないといけません。自分の身を守るとか、家族を守るに集中してしまいがちですが、どんなに備えても共助なしに命を守り切ることはできません。
それから、発生後にさまざまな問題が起きること、人命救助や初期消火、自宅の応急危険度判定、避難所、生活再建、仮設住宅、住宅再建・災害住宅、復興、新たなまちづくり、という段階のことも課題であると教えてください。

 

そして、子ども向けのテーマを考える際は、例えば避難所の住民運営など取り上げる時は、小学生にできる範囲とか、中学生に適した範囲等を考慮していただきたい。

 

これは私たちが進めている家具の転倒防止を普及する教育方法に関するものですが、子どもたちが家に帰って耐震補強の重要性を家の人に伝える、という授業を創案して、効果が上がるように工夫しています。「子どもから家具の転倒防止策や家の耐震補強を」と言われるのは、親にとって負担です。とはいえ、「真剣に伝えてくれたのでびっくりした」とか「子どもが防災に興味を持ってくれてうれしい」という反応も聞かれます。それによって親が子どもに促されるようにして行動を起こしていきます。

 

残念ながら子どもたちは、自分たちのまちや地域への関心については持っていますが、自分で住宅を買うとは思っていないので、そこはいくらサポートしても難しい面がありますね。
また小学校の低学年、中学年、高学年は、発達段階としてかなり違いますので、内容を発達段階に合わせるよう考慮しなければなりません。そして柔軟な発想を育てるためには、生徒が主体的に取り組めるプログラムが必要なのですが、それに力を入れると演習時間が長くなってしまうという問題もがあります。
つまり、あまりに作り込んで準備してしまうと、子どもたちもお客さんになってしまい、聞いているうちに飽きてきてしまうかもしれません。子どもは45分の授業でも飽きてしまいます。ただ、初めてのことに興味を持ちますし、映像や写真も効果的なので、そういうことも踏まえて取り組んでいただければと思います。

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