イベントレポート詳細Details of an event

第45回 AGC studioデザインフォーラム
コミュニティ・アーキテクトによる子ども教育セミナー
~未来への防災まちづくり~

2014年6月21日(土)
講演会/セミナー

平田 ここからは、私たちのキャンパスがある文京区での実例を紹介します。
これは、東京都のデータを入手しまして、文京区について詳しく被害を想定したものです。文京区というのは23区の中でも、昼間人口と夜間人口の差があまりないエリアです。ただし、人口数は他区に比べてかなり少ないですね。

 

このグラフは、東京都が試算した23区の避難者数と帰宅困難者数のグラフです。青が避難者数、赤が徒歩で帰宅するのが困難な人、緑が徒歩帰宅できる人の数となっております。こう見ると、文京区は決して避難者が多い地区ではありません。千代田、中央、港、新宿など避難者や徒歩帰宅困難者が非常に多い区と比べてみますと、かなり少ないことが分かります。しかし、このように少なく ても、実際にはこの図のような状況になると予想されます。

 

これは文京区の地図です。避難所というのは町内会ごとに決まっており、全部で32の避難所があります。想定として、東京湾北部で起きたマグニチュード7.3の地震で、冬の夕方6時という最悪の状況で、風速8m/秒で避難所の区域ごとにどのくらいの被害が想定されるか、シミュレーションをしました。

 

こちらが全壊する恐れのある棟数になります。幸いなことに300棟以上の倒壊が起きるのは赤で示した地域なんですが、1つの避難所の区域程度になります。100棟を超える被害が生じるそういう状況は住民も実際に見たことがないのです。住民の方々は、子どもたちも含め、大地震でこういう状況になることまで予想していません。こうしたことを想定する力が非常に重要だということをお分かりいただけますでしょうか。

 

こちらが、焼失です。文京区は上野と近く、谷中に近いところは非常に危険な地域になりまして赤色で示す焼失の多いエリアが出てきます。赤色は300棟以上が火災で焼失するということを示しています。
みなさまの地域でも逃げる避難所が決まっていると思いますが、ある避難所の単位で300棟もの住宅で全焼する火災が起こっている状況を想像したことありますか? もちろんこれは一つの条件式から導いた仮想のものですので、実際にこの通りの被害であるとも限りませんが、こうした修羅場とも呼べる状態が起こりうること。しかも、それが固まっていますから、本当に地域住民は逃げ惑うかもしれないということを理解しておく必要があります。東京で心配されている大きな火災では、火災旋風が発生した場合には、こちらのエリアの人は、そんなこと気付きませんが、こちらでは修羅場になっているのですね。そういうことを想定しておくのも必要だと考えています。これはそういう数字を元に、避難所へ逃げてこられる避難所生活者数を試算したものです。(詳細は省略)

 

避難所の設定面積は3.3㎡に2人となっておりますので、実際の収容可能面積を超えて避難者で溢れてしまうのが分かりますね。なお、23区は都と協定を結んでいまして、緊急時の食料を1日分・3食分しか持っておりません。ですから想定より大きな避難が起きると、まったく足りませんけれど、こうしたことがまだ住民の方々には伝わっておりません。
避難所に来る人の避難原因はそれぞれ違います。いちばん問題なのは家が壊れていなくても不安だからと来てしまう人たち、水道や電気、ガス等のライフラインの停止で来てしまう人たちです。この人たちの流入を止めなければならない、ということです。お渡しした「避難所読本」の最初のところにも記してあるように、被害が無くて家がある人は自宅でお願いします、と記してあります。もちろん支援を必要とする人には来て欲しいのですが、安易に逃げて来る人を止めよう、という話を住民の方々にはしています。

 

このデータを小学生や中学生など子どもたちにも伝える必要があるかもしれませんが、注意を要します。この数字だけをポンと出すと驚いて、不安に思うでしょう。住民のみなさんは、避難所がユートピアであるかのように思っているのですね。まったくそうではなく、最後の砦なんですが。今、申し上げたように1日分 、3食分しか食料の備蓄もないということもご存じないので、そういうことを知っていただくための読み物が必要です。

 

それから避難所では必ず深刻なトラブルが連続します。それはみなさんもご存知だと思いますが、そういう困った状況に対応するための生活ルールブックも用意しましたので、こういうものも活用していただきたい。子ども向けには、親子で夏休みに取り組む課題みたいにしてワークブックも作成しましたのでこちらも活用下さい。
首都直下地震の想定では、従来、3日分の備蓄が推奨されてきましたが、現在は7日分の備蓄を持っていただくことを推奨しています。私の研究室のホームページに詳しく乗せていますので、今日、戻られましたら、それも参考にしてください。

1 2 3 4 5 6 7