イベントレポート詳細Details of an event

第43回 AGC studioデザインフォーラム
U-30 Young Architect Japan. 開催記念トークイベント

2014年4月25日(金)
講演会/セミナー

 

太田 レオフレックスの話に集中しましたが、薄いと何ができるかというと、プリンターに通せます。実はこの1つ前の企画展で、僕の事務所で試してみたのですが、大判のプリンターで直接ガラスに印刷してみました。普通は中間膜を使っていろんなパターンをプリントしますが、Leoflexはかなり綺麗に直接インクが乗るので、相当おもしろいのではと思っています。
この前もイスラエルのヤンティベールという、アーティストがいるのですが、その人はプレパラートみたいな薄板を並べてそこに煙を、3Dでモデリングして、断面を全部コンターで切って、それをガラスに全部印刷していきます。そうすると三次元の煙のようなものが見えるわけです。
だからCTスキャンを使って、それを薄板ガラスに全部印刷すると、人間も断面が細かく出来ます。そういう印刷を使うと、薄いという特性が、一種の透明な空間に何かを描く道具になると思っていて、ファブリケーションだとかプリンティングの技術も含めて考えていくと、ますますいろいろな可能性が出てくると思います。
ガラスと印刷についてはどう思われますか?

 
平沼 今の印刷技術も分厚いものに対して印刷ができるようなものがあるなど、両方の技術的な高さが、合わさった時に本当に平面で収まるのかなというのは、期待してみたいです。もっと違う次元でつくっていける印刷やガラスの使い方であるのではと、見ています。
僕は、絶対高透過じゃないと嫌なタイプではなくて、そもそもガラスの開口部、窓に使われているような、障子みたいなものから、どんどん大きくなって、AGCさんみたいな世界第一位のシェアの企業が生まれたのだなと思います。

 

日本の開口部の、掃きだし窓の文化から生まれていったことを考えた時に、建築物はいつも立面図で考えていくようなところがあり、あるフレームは決まっていて、その開口部を落としこむ時の配置が、立面方向から見るとこれくらいの配置のほうがいいだろうなと思うけど、室内から見ると全然違ったところに光が入ってきたり、また欲しいところに光が落ちなかったりする矛盾みたいなものを、僕は学生の頃からずっと抱えていました。
いつかできたら、全部ガラスで構造フレームがはっきりとわからないような、開口部なのか構造体なのかが、わからないような部分をつくりたいなと考えていた意識があります。もし印刷みたいなものの技術と、ガラスの薄さがもっと薄くなっていくと、紙みたいな状態でつくることが出来る新しい技術が生まれて、建築や何かに代用できるのではと期待しています。

 

太田 佐藤さんは、ガラスが曲がったらというのはどうですか?

 

佐藤 曲げて使うのも、1つの座屈をコントロールする形状、座屈に強い形状を求めるということでもあります。そういう意味で1つは、ペラペラのおかげで、気軽にそうやって曲げて使うことが出来ます。弾性的に曲げて、その状態で固定すれば、強い形態がつくれるというのはすごく画期的というか、新たなガラスの使い方が生まれそうだなというイメージは持っています。
印刷の話がありましたが、印刷の透過する光線のコントロールだとか、表と裏と違う印刷をして、モアレ状にコントロールするだとか、光や温度だとか、そういうもののコントロールにも使えるのではないかなという気がしますね。

 

太田 接着剤は印刷できるのですか? 封筒のノリは何でやっているのかわからないですけども、どういう形状かがファブリケーションで切り出せて、そこののりしろの部分に全部印刷でノリがついていて、それでくっつけるのはいかがでしょうか。

 

佐藤 ノリを封筒のように自由な形状に貼り付けるというのか、少しはっきりしませんが、そういうものはもうすでにあるような気はします。

 

太田 外装材としてはものすごく強いわけですから、安定しているわけです。そう考えると、ガラスの外装というのが、全然違う構法というのはできるのかなと思いました。

 

佐藤 私が溶着に力を入れているということがあって、今まだ普通強度のものを、試しているところで、そういう強化ガラスも将来的には現場で一体化できて、なお且つ現場で強化処理が出来るとなってくると、大いに生まれてくる建築形態が、変わってくるのではと思っています。
なんとか進めたいなと言っていますが、遠い将来の理想はなにか小型のそういう溶着装置が目地にそってゆっくり動いて、2週間後くらいに出来上がるようなイメージを持っています。そういったプロセスを強化処理だとかにもできないかと考えています。
そういうことが出来るようになると、大いにシームレスなものがつくれる可能性に繋がって、もっと可能性を示せるのではということもあります。

 

 今佐藤さんがトライされようとしている溶接について、それを現場でやりたいと言った時に、ある種の完璧さを求めると思いますが、完璧に至るまでに時間がかかります。
その途中の段階で、完璧ではないものを許容するデザインが必要だと思います。
溶接よりは多分カッコ悪かもしれませんが、もしかしたらその重なりが何かデザインとして、面白くなるという展開もあると思うので、その中間の技術っていうものを同時に開発出来ると面白そうかなというような気がしました。
私は岩瀬さんの作品が面白いと思ったのは、その中間的な感じだからです。後々の可能性はもちろんあるんですけれども、完璧さを求めると言うよりは、今ある材料の中で何が出来るのかっていうトライアルとして、綺麗に示されていることは、すごく面白いなと思いました。

 

平沼 さっきの話ではないですが、実は重ねあわせて接合していくガラスを佐藤さん考えていて、アクリシラップという、合わせガラスの間に挟んであるシラップなのですが、それでガラスを溶接ではなくて接合していこうという二次的なことを考えてくださっています。
今、乾さんの話を聞いて、中間的な状態で岩瀬さんの作品をみると、なるほどというのがよく分かります。建築を学んでいると、技術として開発されて何十年も経ったものを普通に使っていますが、新しい技術も使わなければいけない場面が設計者にはたくさんあります。
その時にすごく設計者は苦労していて、現場もすごく苦労しますが、少し低減したところでどういうデザインが発生するのかは、今の乾さんの話を聞きながら、なるほどな、と思いました。
そういう解決の仕方をすると、中間的な岩瀬さんみたいなフィニッシュが見えてくるのではないかと、今日は学びました。ありがとうございます。

 

佐藤 私はこのU-30という企画で、ガラスを扱う以上は、数々のトラブルは起きるのは当然であり、旭硝子の方々には、今後も続けて欲しいなと思っています。
次回からU-35になるようで、ずっとこのコンペの審査員をさせて頂いておりますが、やっぱり板ガラスの案が非常に多いです。単に板ガラスでも、強化、倍強度ガラス、普通、強度など、私のプロジェクトでも、使い分けています。温室は倍強度で、こちらのガラスの階段は強化です。
さっき出てきたガラスとアクリルは普通強化ですが、強度の違いでいうとレオフレックスは11倍くらい強い強化ガラスで、そういう数値的な理解もしながら提案してほしいというのもありますが、板ガラスだけではなくて、一度溶かして使うということを是非提案をしてきてほしいと思います。
毎年、塊状のガラスを使うとか、溶かした水ガラス的なものを使うとか、少しはありますが、まだまだ一等賞に選べるほどの実現性の感じられるものはなかなか無いです。実現性を大いに引出そうとしてこちらも選ぶわけですが、ガラスはなにかむにゅっとしたものだというような捉え方もして欲しいなと思っています。
ぜひ参加する方々は、ガラスの非常に多様な性質を捉えて、挑戦していただきたいです。

 

太田 いろんなガラスの特性がありますので、なるべく多様なアプローチをしないと、多様には現れない材料だとは思います。構造もそうですし、透明性も、曲げも、反射も、拡散もあるので、僕はAGC studioはそういうことを実験する場所であり、こういう可能性があるのではないかと、建築家やデザイナーの方の良き相談相手もいる、そういう場所だと考えています。
今日いろいろなことを感じられたら、ここで色々とAGCの皆さんに聞いていただければと思います。

 

AAF 松本 最後に盛大な拍手をお願いいたします。ありがとうございました。

 

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