イベントレポート詳細Details of an event

第41回 AGC studioデザインフォーラム
陸前高田発 震災から3年、いま覚悟をもって明日へ

2014年3月20日(木)
講演会/セミナー

●第一部 現況報告

 

 

鈴木 私は縁があって被災後の陸前高田市にお邪魔することになりまして、先週で41回目の訪問になりました。後ほどご紹介させていただきますが、ようやく住まいの再建が本格的になってきました。
このAGC studioさんでは2012年2月に、陸前高田の復興に関する一回目のフォーラムを開催致しました。
会場にいらっしゃいます菅野広紀さんという方と私とで相談しながら、本日の発表者でもある武蔵和敏さんなどにも出ていただき、陸前高田の現状報告などをいたしました。そして昨年はNHKの城本さんにモデレーターになっていただき、暮らしの再建、地域の再生をテーマに話し合いました。
振り返って見ますと、この衛星写真にありますように、たった1日で日本全体の半分の地域がほぼ真っ暗になったのです。あの日、被災地から離れていた人たちは、テレビカメラの向こう側で何が起きているのかを半信半疑で見た後、翌朝に映し出された光景を見て本当にショックを受けました。
被災地では、そういう状況の中、たくさんの方々が、いろいろな行動をしながら、何とかして生きようとしていました。建物も何とかその人たちを守ろうとしていた。
ところで、陸前高田市というところは震災前から高齢化率が非常に高い地域で、このグラフは将来の人口推計のグラフですが、本来は黒い線のカーブを描くはずだったのに、震災により、さらに急激な高齢化率を示すラインになりました。また現在、内陸部で避難生活を送っている方々が戻ってこられたら、このカーブになりますし、戻られなかったら、こちらのカーブを描きます。
この震災によっていっそう加速化した地域の高齢化は、日本全国で起きる現象を先取りした共通課題であります。こういう地域の復興を私たちもお手伝いしながら東北はもとより、日本全体の地域再生、地域定住を目指していくのが大事と思います。
私が関わっている住まいの再建事業では、それぞれの地区によって被災具合がまったく違います。そういう中で、災害公営住宅の供給戸数と自立再建の数はまったく違います。全体で約4000戸の自立再建をしなくてはならないという状況です。
テレビ報道などでは、こういう平場の風景を紹介されることが多いわけですけれど、実際には6割が高台にありまして、そういうところに新しい集落をつくれるかが重要だと思っております。
隣にある大船渡市にも私は関わっているのですが、大船渡の場合は平成27年くらいに再建の目途が立ち、30年には大きな団地ができて、一応の終結を見られる予定です。

 

一方、陸前高田の場合は、いま防災集団移転が、この(地図の)赤いところに数百戸分、土地の造成が行われます。それがだいたい平成29年くらいまでかかり、次いでこの緑のラインの中心市街地、津波で流されたところですが、そういった大票田の土地の造成が進んでいく予定です。住宅再建そのものが順調に行ったとして、終わるのが平成33年くらいと見られています。本当にまだこれからという状況です
そういう中で、今、武蔵和敏さんと一緒に行政に働きかけながら、住民の方と、つくり手と、それを支える我々が一体となった再建体制を市の事業としてこの4月から立ち上げることとなりました。
そのような経緯で住宅再建のほうは少しずつ体制ができ上がってきており、こういう巨大なコンベアーなど復興の鎚音も聞いたり、報じられたりしておりますが、果たしてこれからの復興というものが、従来型のような、元通りに再生しようという、いわば焼け太り公共事業みたいな不公平なものにならないよう、公平性を重んじた新しい創造が必要と思います。
これは有名な田中正造の言葉です。
真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、ムラを破らず、人を殺さざるべし
ここに書かれているように、これが復興には最も重要ということを改めて感じます。
救済のための「衣・食・住」、復旧・復興のための「医・職・住」、そして地域に居るための職や充実した生活を考えていくのが大切で、今回はここに示す「居・職・充」に話を絞りながらフォーラムを進めていただきたいと思います。
非常に広範な話題になりますが、NHKの城本さんのお力をお借りして進めていきます。
今回、報告をしていただくのは、偶然なことに市立高田第一小学校の第28期卒業から第30期卒業という4名の方になります。
よろしくお願いします。

 

 

城本 鈴木さん、ありがとうございます。これからパネルディスカッションを開始いたします。

 

最初に私もご挨拶をさせていただきます。NHKで解説委員を務めております城本と申します。
今、鈴木さんからお話しいただきましたが、このフォーラムは震災翌年の2月が最初でした。私はその時、ここに聴衆として勉強に来ておりました。
たいへん感銘を受けまして、その後、関わりを持たせていただいております。私はもともと政治を担当しておりますが、同時に地方自治についても個人的なテーマとして取り組んでおります。
今日は、これからの話として、地域の再建をどう図っていくのか、と。これはそのまま日本全体のあり方に関わってくると感じています。

 

では、まず武蔵さんからお願いします。

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