イベントレポート詳細Details of an event

第82回 AGC Studio Design Forum
AGC リノベーション展+DESIGN セミナー
「マンションに100年安全で快適に暮らす方法
− 耐震化に取り組む中で見えてきたマンション再生の考え方 −

2017年10月21日(木)
講演会/セミナー

大規模修繕工事の様々な事例 その1

 

今井 1回目の大規模修繕工事について、事例を見ながらお話していきます。
 築後12〜15年ほどのマンションに行くと、一見、さほど傷んでいないように見えますが、よく見ると、廊下側の手摺りにひび割れが入ってエフロレッセンスが見られたり、塗膜がはがれたりなどの現象が見られることがあります。
 このCRマンションについては、築後12年目に呼ばれて一度調査しましたが、「まだ早い」ということになり、その後、経過を見つつ、美観がかなり損なわれてきた14年目に大規模修繕を行いました。
 ここのエントランス扉は当初、かっこよく見える両開きのドアだったのですが、例えば、ベビーカーを押して通るときなどに危ない、ということで、自動ドアに替える工事を行いました。こういう、両開きから自動ドアへの変更はかなり一般的なものです。
 また、このマンションは32戸の規模で、平置で車10台、機械式で6台、バイク6台、自転車26台分の駐車場がありました。機械式駐車場を使っていないことと維持費がかかることから、管理組合から、自転車置場を増やせないか、という話があり、その工事も行いました。機械式を取り除いて平面に整備し、車16台だったところを、小型車3台を含める15台にして、広すぎたバイク置場を2台にしぼり、自転車置場52台分を確保したかたちです。
 新築時に附置義務で設置していた駐車場を、現在の緩和された基準に照らして減らし、必要な台数に改修した例となります。

 

 こちらのKTマンションの事例も機械式駐車場の改修です。駐車場改修のみのコンサルティングを、半年くらいかけて行いました。
 屋内の機械式駐車場が80台、屋外に39台、平置が1台の計120台の駐車場ですが、実際に使用しているのは約60台という状況でした。駐車場の容積緩和と地階倉庫の容積緩和を移行するかたちで、東京都と相談しながら、機械式駐車場20台分を、大小合わせて104ブースのトランクルームに替えました。
 写真のここに排水溝があり、元は機械式駐車場に雨水が流れないように設けたものですが、トランクルームに改修したことで、台車での荷物の移動時にこの排水溝をまたぐかたちになるので、スロープを造る必要がある。そのスロープをどういうふうに造るかなども、実際にベニヤを組んで台車を使って試してみました。こういう小さなことも一つ一つ検討し、相談して行うこと、それが「皆で相談して決めた」ということにつながると思っています。

 

 こちらはエレベーター改修の事例です。新築時から30年くらい経つと、エレベーターの部品の供給が止まって、メーカーから「取り替え時期です」という通知がきます。ここは、元は片側が奥行き1620cmのトランクルーム付きのエレベーターでした。それを奥行き2mのかごに取り替えたい、との要望が管理組合からあり、その工事を実施しました。完成したのが写真のものです。
 また、給排水設備の改修工事も始まります。トイレの奥の鋳鉄管が漏るというより、流れが悪くなる。通気管がついている場合は、そこがサビてくるという現象が起き、築後35〜40年くらいまでに取り替えることが多い気がします。築後30年くらいのマンションですと、専有部分はまだいいよ、というケースが多いのですが、築後40年になると、専有部分の給水給湯管からの漏水がかなり起き始め、取り替えの相談が多くなります。
 これは専有部分ということで、けっこう神経を使う工事になります。部屋に入るため、基本的には在宅をお願いするのですが、工事中はトイレの便器がはずれている状態なので、事前に共有部分のトイレを男女とも使えるように改修し、スペースがあれば車椅子でも使えるようにして、専有部分の工事にかかっています。場所がなければ、仮設トイレや仮設の流しとなります。
 受水槽を災害時の水瓶として残す工事も行い、FRP製120tの受水槽を、ステンレスに交換しました。災害時に配管が折れても流れでないように緊急遮断弁をつけ、またアタッチメントをつけて、災害時に受水槽の水がくめるようにした、という事例です。

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