イベントレポート詳細Details of an event

第85回 AGC Studio Design Forum
AGC リノベーション展+DESIGN セミナー
「ワンストップリノベビジネスについて」

2017年11月16日(木)
講演会/セミナー

リノベーションの現状とこれからの見通し

 

渡邊 年間100件のリノベーションを行っている弊社ですが、平均の単価でいうと、だいたい70㎡くらいのマンションになりますけれど、1件当たりの単価は900万円前後と、かなり高単価になっていますし、当然、単価が大きいのでマンションの場合はスケルトンの状態に解体してから、お客様のリノベーションを入れていくことになります。中古住宅を購入してリノベーションをするという買い方自体が世に広まってきたのは、ごく最近のことです。我々も会社設立から4年半で歴史も浅いですし、こういう買い方自体も十数年前から始まっていますけれど、まだまだ一般的になっていないと思います。というのも中古住宅にはどうしてもネガティブなイメージが付いて回る。古いとか、汚いとか、耐久性が不安だとか。そういったネガティブなイメージがありますし、日本の場合、昔から新築をよしとする風潮があり、中古を買う人には「お金がないから」というネガティブイメージがありました。もうひとつの大きな要因は、住宅ローンを組む際、一昔前まではリフォームは住宅ローンの対象外だったということがあります。物件自体には担保評価が付きますのでローンを組めますが、リフォームの費用にローンを組もうとすると金利が高かったり借入期間が短かったりで、あまり現実的でなかったということがあります。ですから、中古住宅を購入してリノベーションするという買い方が未成熟で歴史としても浅い。ただ、今後はもっともっと魅力が認知され、市場として発展していくと思われます。

 

 今日、ご参加いただいた方々はこのグラフをご存知の方が多いと思われます。住宅購入者の中で中古住宅を選択した比率です。欧米と比較したデータなんですが、アメリカ、イギリス、フランスなどでは住宅購入者の8~9割が中古を買う。一方で日本は真逆で、購入者のほとんどが新築です。もちろんこれは高度成長期の名残
であり、国を挙げて新築市場で景気を底支えしてきたわけです。今もその新築神話は残っていますが、ここ進年、変化してきたという状況もあります。野村総研さんのデータを見ますと、2015年の実測データでは、住宅購入者の3割が中古を買われています。2005年は18%ですし、それ以前は10%くらいでした。なので、中古の市場自体はこの5年、10年、20年で飛躍的に伸びておりまして、この傾向は今後も続き、同じように伸びていくだろうと見られています。これはまぁ、推測データなのですが、2030年には家を買う人の約半数が中古を買う、そういう時代が来るとされていますので、ようやく中古市場がさらに盛り上がってくるだろうと。特に首都圏に限っていうと、この逆転現象が既に始まっています。2016年の実績ですが首都圏に限っていうと、新築マンションを買う人よりも中古マンションを買う人の方が多かったのです。歴史的にはかなり異例の出来事であり、そろそろ中古購入が当たり前という時代が局所的には始まっていますし、この流れが全国的に広まってくるだろうと見られています。新築至上主義の日本の住宅市場から、中古物件を買うのが当たり前の時代になるであろうと。そうなってくると、当然、中古物件の買い方の中でも、より良い、より魅力的な買い方が模索され始めます。これからは中古を扱う事業者が、より魅力的な買い方をサービスとして打ち出すはずですし、国も金融機関も中古に特化したサービスが展開されていくだろうと思います。

 

 こちらの図は、一般の一次取得者の視点から見た、住宅購入の選択肢です。シンプルに言うと、新築を買うのか、中古を買うのか、買わずにずっと賃貸なのかの3パターンです。新築を買うという方の中にも戸建ての場合は、ある程度こだわりもあって予算もふんだんにあるという方は、おそらく、見た目も耐久性も良く、間取りの自由度もある注文住宅という買い方を選択するでしょう。ただ、注文住宅を買うとなると、土地を買って、そこに上物を建てるため、かなりの予算が必要になるので、世帯年収が下がっている世の中で、そういう買い方をできる層はどんどん減ってきています。そういう事情もあって、最近は建売住宅やローコスト住宅などが伸びています。新築で注文住宅を変えないという方は、新築の建売住宅、もしくはローコストの新築を買う。新築はこの2択になります。一方、中古住宅を買う方の買い方もほとんど限定されます。中古を買う方が口を揃えていうのは「なるべくきれいな、築浅の中古がいいです」と。なるべく新しめのきれいなものを買いたいと思われるのは当然です。最近だとリフォーム済み物件というのも市場に出回るようになってきましたので、築年数こそ古いとしても内装はすべて新しくなっている、という買い方も出てきています。住宅購入者の買い方を見ていますと、こういった価格と、見た目や耐久性が重要になり、それに付随して自由度とか立地などの条件があり、それに応じて意思決定されるわけです。さて、こういう中で「中古物件+リノベーション」という買い方が、この図のどこにあるかというと、本来は築年数のかなり経った「築古」を購入して、自分の好きなようなリノベーションをするわけですから、一般的には新築よりも圧倒的に安い価格、中古住宅の築浅やリフォーム済み中古とだいたい同じくらいの金額相場に落ち着いた状態で、見た目や耐久性の向上も可能ですし、間取りの変更やデザイン性も変えられます。

1 2 3 4 5 6