イベントレポート詳細Details of an event

第84回 AGC Studio Design Forum
AGC リノベーション展+DESIGN セミナー
「補助金を使って窓改修」

2017年11月9日(木)
講演会/セミナー

賢く補助金を使い、快適な住環境と健康を維持しましょう

 

山下 保険についても、少し触れておきます。
火災保険は、家が火事に遭ったときに補償されるものだと思われていますが、それだけでなく、頭文字をとって「カバトタラコ」の補償も付いています。つまり、火災、爆発、盗難、台風、落雷・落書、洪水の補償が付いていて、自動車保険のように等級制度がなく、使用しても保険料は上がりません。
最近は、台風や豪雨が多くなり、それに伴う住宅の損害もいろいろ発生しています。例えば、台風による損害時に「雨漏りで保険出るのかぁ?」というと、全部出るかは別として、台風という項目があるので、なんらかの補償はある。なので、建物にまつわる修繕には、補助金だけではなく、火災保険を適正に活用する方法もあります。

 

2009年から始まった瑕疵保険は10年保証なので、満期対応の時期にきています。人間の体と一緒で、インスペクション(現況検査)による診断をしないと、保険の延長ができないことになっています。今は、インスペクター(建物診断士)が不足している状況でして、設計士が建物診断士になるのにも、国の補助金が出ます
国の課題に対して補助金が付くので、ありとあらゆるところに補助金が付くかたちです。お手元の資料の「最新補助金」というページの赤字で示したものが住宅用、青字が非住宅用です。メジャー級でも20ほどの補助金があり、全体で100以上にものぼります。

 

最後に、健康につながる住環境についてお話いたします。
補助金を使って省エネ・断熱化を行え、光熱費も下げられるというメリットをお話してきましたが、このことは、健康なまま生活できる「健康寿命」を延ばすことにもつながります。
今は、生活習慣を変えても、それだけでは健康を維持するのは難しいと言われています。酒の量を減らす、煙草を減らす、夜更かししない、スポーツをするというようなことをしても、住環境が悪ければ、それがそもそも健康を害している。先程から述べているヒートショックの問題に関しては、建物内にできるだけ寒暖の差をつくらないことを国は推奨しています。
NHKの「ためしてガッテン」という番組で取り上げていたのですが、寒い部屋で寝た場合、布団内が温かくても、寒い部屋での呼吸によって内臓が冷やされ、「内臓凍死」のような状態で突然死することがある。これもヒートショックの一種になので、建物内の寒暖差をなくすことが、より重要になってきます。
また、ヒートショックが起こるのは住宅が一番多く、このことを受けて、イギリスでは室温が16℃以下の住宅には住めない、という法律があります。熱中症の発生場所も、実は屋外ではなく、4割が住宅の中です。
住宅内の場所としては、最初に述べた風呂場に加え、トイレも危ないと言われています。夜間や早朝、温かい布団から出て、寒いトイレに行くと、20℃くらい急に気温が下がることがあり、ヒートショックが起こります。さらに排泄に伴う動作によって血管に大きな負担がかかり、血管が切れてトイレで亡くなっている、というケースも少なくありません。
湯船も危ない、トイレも危ないので、住宅内の温度差をできるだけなくす魔法瓶化計画が、いっそう大切なわけです。

 

健康改善率に対する、飲酒・運動・喫煙・断熱の寄与の割合を調べた研究があり、アレルギー・アトピー・気管支喘息の改善に一番関わっているのは、住宅の断熱だ、という結果が出ています。
ポイントとなるのは、室温を18℃以下にしない、住宅内の寒暖の差を3℃以内に抑える、ウイルスの活動を抑制するために室内の湿度を40〜60%に保つ、の3つです。それらの実現には、熱の出入りの8割が窓を通してなので、窓を断熱化しなければならない。元々、北海道や東北には高断熱の住宅が多く、ヒートショックでの死亡は、実は関東以西が多い。断熱化すると、健康で活動的に暮らせる時期である健康寿命も延びてきます。
「知っ得・知る権利」ということで、すべての建物が補助金の対象となるので、知識を得て、補助金を適正に使って省エネと断熱化を行い、光熱費を大幅に下げることが可能です。さらに健康寿命を延ばすメリットは、一人一人の人生に深く関わってくる、と言えます。
本日は、賢く補助金を使い、快適な住環境と健康を維持しましょう、というお話をさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。

 

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