イベントレポート詳細Details of an event

第84回 AGC Studio Design Forum
AGC リノベーション展+DESIGN セミナー
「補助金を使って窓改修」

2017年11月9日(木)
講演会/セミナー

様々な補助金の現状

 

山下 アメリカのサイトに「Zillow.com」というのがあり、全米の地図上の不動産の推定価格を見ることができます。このように、アメリカやヨーロッパは建物の価値を表現できているのですが、日本はどうかというと、路線価で土地の価格は出ていますが、上物である建物の価格は、ベクトルとなるものが曖昧です。
日本では、築20〜30年以上くらいになると建て替える文化があり、平均して25年ほどで価値がない、と見なされる。実際は、日本の建物にはとても価値があるのに、その価値を表現できていなかった。そこで、その価値を表現したらどうなるかというと、先程、日本の総資産が1400兆円ほどあると述べましたが、日本の建物の上物としての価値を表現すると、5000兆円ほどになると言われています。
では、「もっと借金できるやんか」とも考えられますが、それはできなかった。なぜかと言うと、日本では住宅の優劣を計る基準がなかったからで、そこを統一しようと出てきたのが、三澤千代治氏が考えた長期優良住宅“200年住宅”です。それを、日本の住宅の価値のベクトルにしようということで、国交省が頭に立って普及しました。これを受け、今は各ハウスメーカーで、「長期優良住宅が当たり前」となっています。

 

建物に上物の価値があることを明確化し、それを守るメンテナンス文化もコントロールしよう、というルール化の動きが出てきています。長期優良住宅として2000万円で建てた建物は、2000万円の価値がある。それを必ず、インスペクション(点検)という建物診断をして、悪い箇所を直していくことで建物を長持ちさせる。つまり、長期優良住宅として建て、メンテナンスもしっかり行うので、価値が持続するということになります。
何が言いたいかというと、これまで述べたことは、日本の財政問題(住宅問題)に関わっているため、価値ある住宅の長期優良住宅を建てると、補助金がもらえます
結局、財政破綻を防ぐために、予算をつける。そこで、建物の価値につけましょう、と。日本版の「Zillow.com」である「スムストック構想」を進めるためには、日本にある建物の価値を統一して決める必要があり、その基準を長期優良住宅としたので、それを新築する際は、今は最大120万円の補助金がもらえます。
また、新築では、ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)という、蓄電システムと住宅性能の併せ技で、年間のエネルギー消費が正味ゼロになることを目指す住宅にすると、補助金がさらにアップします。ヒートショックによる死亡リスクを減らすため、住宅の魔法瓶化計画にも、補助金はかなり出ます。

 

先程お話した、BELSというエネルギー・パスポートについても、付け加えておきます。
日本では、賃貸マンションを探す際に、家賃を基準に選ぶ文化がありますが、ヨーロッパでは光熱費が安い部屋を探す傾向があります。そのときのベクトルがBELSになり、建物ごとに省エネ評価をしているので、それを見るとわかるかたちです。これを日本は今、導入しようとしていて、通称「エネ・パス」のBELSの評価ラベルを建物に付けていっています。家賃は1万円高いけど、光熱費が2万円安いから、この部屋にしようとなる
また、「グリーンリース」という方法もあります。日本では、テナントビルで、省エネ化がなかなか進まない状況です。その理由は、「1億円をかけて省エネ工事をしても、喜ぶのはテナントだけだ」と思っているオーナーが多いためで、そこに補助金を付けると現状が変わってくる。そこで今は、省エネ化の改修工事の2分の1に、補助金が出るようになっています。さらにアフター部分では、ヨーロッパなどで行われている、省エネ化で光熱費が下がった分をオーナーに分け合える「グリーンリース」という方法があり、そのメリットに着目して、日本では環境省が導入しました。
例えば、以前は月200万円かかっていた光熱費が、省エネ工事後に100万円になったとすると、テナントは何もやっていないのに、月100万円が浮くことになる。その半分の50万円をオーナーに返すというのが、グリーンリースのシステムで、オーナーには「グリーンリース補助金」が出ます。この「テナントビル グリーンリース」の補助金も、国が普及に努めているものです。また、耐震補強についても、補助金がかなり出ています。

 

現在、日本には820万戸の空き家があるとされます。空き家が多いと、防犯上の問題がいろいろ出てくるので、国は空き家を減らしたいという考えです。
一方では、空室がたくさんあるのに、高齢者・障害者・子育て世代・低所得者・外国人などの方が入居をこばまれるということが起こっています。片方では、820万戸の空き家を減らしたい、もう片方では、入居したいのに賃貸住宅に入れないという課題がある。そこで、両者をマッチングさせるのであれば、外壁工事やキッチンの改修など、どんな工事でも3分の1の補助金が出るという、「セーフティネット」という補助金もあります。省エネがポイントではなく、空き家を減らしたい、賃貸契約時の弱者を減らしたいので、それをマッチングするオーナーに補助金を出す、という趣旨になります。
今、日本の古き良き国産材が荒れ果てています。
人間の頭と同じで、適度に散髪をしないとダメなわけで、雑木林になって山が死んでしまったら、吉野杉などの銘木も枯れてしまう。林野庁と国交省が「たいへんなことになっている」ということで、各省庁で、「古き良き高い木材に補助金をつけるといい」というアドバイスをしました。それを受けて、数年前に「木材利用ポイント」という制度ができ、国産材を使うと補助金をもらえます。また、少子化対策のための住宅改修に関わる補助金もあるなど、実にさまざまな補助金があります。

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