イベントレポート詳細Details of an event

第84回 AGC Studio Design Forum
AGC リノベーション展+DESIGN セミナー
「補助金を使って窓改修」

2017年11月9日(木)
講演会/セミナー

これからの補助金は「遮熱」から「断熱」へという考え方

 

山下 これからの補助金についても、見て行きましょう。
今までの補助金は、「空調」と窓ガラスにフィルムを貼る「遮熱フィルム」の併せ技での獲得が中心でしたが、それに変化が起こっています。その原因が、先程お話した、寒暖の差で高齢者が年間12万人も亡くなっている「ヒートショック」の大問題です。
遮熱フィルムが悪いわけではないのですが、住宅の全面を遮熱フィルムで覆ってしまうと、夏場はいいのですが、冬場の北面などが寒くなってヒートショックを助長しているのでは、という話が出ています。
そのため、これからの補助金は「遮熱」から「断熱」へという考え方になってきています。断熱とは何かというと、ペアガラスにするなどのガラスの交換、内窓の設置で二重サッシにする、カバー工法で窓ごと取り替える、という3つの方法があり、これらによって建物を魔法瓶のようにする。そうすると、クーラーの効きがよくなり、節電・省エネになり、更に健康にもいいですよ、ということです。
ペアガラスや二重サッシにする躯体改修には、足場がつきものですが、店舗などでは、営業の関係で嫌がられることもあります。ですが、うまくペアガラスと二重サッシを組み合わせると、足場不要の改修工事が可能で、補助金ももらえます。また、学校などでとくに喜ばれるのは、窓をペアガラスや二重サッシに変えると、節電・省エネに加えて、防音効果が高まることです。窓の気密性があがることで静かになり、勉強や仕事もはかどるそれもメリットだと思います。

 

「窓って、なんぼなん?」とも、よく聞かれます。
わかりやすく、大・中・小に分けて説明していますが、ベランダに出られるような大きい「掃き出し窓」だと、材料・工事代で20万円ほど、中型の「腰窓」が10万円ほど、換気用「小窓」が5万円ほどです。
大きな建物で、掃き出し窓が200カ所あるとすると、20万円×200カ所で4000万円かかります。「高いなぁ〜」となるのですが、先程、建物の3割以上と言いましたが、例えば、その半分の改修にすると4000万円×0.5で2000万円となり、「それならできるかなぁ」という話になったりします。
事例で紹介しますと、LED電球交換4000万円、空調7000万円、ボイラー・エレベーター1850万円、窓2000万円、BELS(国が認定する建築物の省エネルギー性能表示・5つ星評価を行うエネルギーパス)150万円とすると、トータル1億5000万円かかります。3分の1にあたる5000万円を補助金でまかなうと、オーナーの実質負担は1億円となり、「めっちゃええなぁ」となるわけです。
また、窓の工事は1窓30分くらいで完了し、窓際だけでの工事になるので、室内の家具などを動かす必要がありません。ベランダがあれば、室内に入らない工事も可能です。こういう施工の特長も、実施しやすいところだと思います。

 

自動車業界ではエコカーが出てきていますが、建物もエコハウスが普及し始めています。車では自賠責保険が強制加入になっていますが、建物では、10年保証の瑕疵保険が今は全部に付いています。自動車保険に対して火災保険が付き、車検点検に対するものとしては、今後、日本が普及させようとしている建物点検があります。車検証に対して、建物履歴書である図面などを管理するという内容です。
また、2020年に、新築の建物には省エネが義務化されます。床面積で2000平米以上はすでに義務化されていて、来年4月からは、300平米以上も対象になります。
そこで、最初に述べた「国の課題を知ると、補助金が見える」という話に戻りましょう。国が課題としていることに予算がつき、そこに補助金が付いてくるので、まず、その課題を挙げていくことが必要になります。
一つは、財政破綻の問題で、日本の借金は1000兆円を超えています。もしかすると、日本が転覆するような時代が来るかもしれません。日本の借金の現状を見られる「リアルタイム財政赤字カウンター」というサイトがあるのですが、それをご覧いただくと、赤字に金利が加算されるので、2秒で100万円ほど増えていて、火の車のような状態です。
今、日本の総資産はタンス預金を含めて1400兆円ほどあるとされていて、もう少しで借金のほうが上回るかもしれない。上回ったらどうなるかと言うと、日本も財政破綻したギリシャのようになってしまう。今はこういう非常事態の時でして、国は毎年40兆円の国債を発行しています。
では、これに補助金が付くのではないか、と。その通りでして、これに関して国が考えたのが、次のようなことになります。

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