イベントレポート詳細Details of an event

第39回 AGC studioデザインフォーラム
「STEPS IN THE AIR」展 連動企画
ガラス・エンジニアリングの歴史・現在・未来

2013年12月12日(木)
講演会/セミナー

太田 構造に関して佐藤さんに相談したのが、その年の3月くらいだったと思うのですが、やはり「ロッドが大事になる」という話になりまして、直階段が出てくるので、こういうふうに留めようではないかということが5月くらいに決まりました。
具体的には、この3階の床に鉄骨の補強を入れ、そこから床までピーンと3本のロッドを張って、その3本の間は2枚分の直階段にする。またらせん状のロッドを、僕は竜骨と呼んでいたのですが、それをガラスの段の下で回して全体を支えよう、ということにしました。

 

で、この図面を見られてお気づきかと思いますが、段の設計方針が決まった後でいちばん困ったのは手すりなんです。手すりを付けないわけにはいけないので、どうやってそれを留めるのかが非常に悩ましかったのです。
この画像では、手すりだけをぐるっと回していますけれども、どうも全体のリズムと合わない。それから手すりがあっても、側部に落下防止の柵がないとダメなわけです。それらは階段が備える当然の機能なんですが、どうやってその部分を減らせるのかを考えながら進めました。
6月くらいにMITチャペルのことも思い出して、手すりをバラバラにして取り付ければいいのではないか、と考えました。
今ありますように、手すりも吊るされているようなものが全体として美しいのではないかと考えました。

 

ただ問題は、この手すりを、そもそもどうやって付けるのかということになるわけです。というのも、このロッドは直径が9mmと大変細いのです。9㎜のロッドに手すりを溶接しようとすれば、曲がってしまいますし、応力にも影響が出てくる。だから、溶接はできない、と。
じゃあ、小さなネジの穴を開けるか、となると、それもまた新しい技術的な課題になってくる。そうやってよくよく考えてみると、実はこういうロッドの途中に手すりを取り付ける方法がないんですね。ロッドや手すりに穴とか出っ張りがないと、どうしても留められない。
悩んでいましたら「転造」という技術がある、ということを、今回施工をされたAGC旭硝子建材さんから聞きまして、それを使おうということになりました。
この転造は、手すりだけでなく、段板などもこの技術で留っています。
これはネットから持って来た画像ですが、こういうロッドに両側から力を与えると、この部分が膨らんでくるんですね。その膨らんだところにネジ山を切る、と。
通常のものの作り方ですと、こういうロッドのネジ山は、切削して作るのでロッドの直径に比べ、同じか、少し小さくなりますね。そうすると、上から独楽(コマ)のようなもの、ナットなどを入れても引っかからずに下まで落ちてしまいます。だから、ネジ山がロッドの直径よりも大きくないと、引っかかりがないので(機械的には)手すりなどを取り付けられないことになります。
しかし、転造という、ネジ山をロッドよりも太くする特殊な技術を使えば、それが可能になる。そういう(日本の町工場的な)技術を使っているということを、後で階段をまた見られる時に、細部にも注目していただきたい。
これがその納まりの図です。ここのロッドに独楽がありまして、その独楽にこのスチールの角材を入れて支えるような仕組みにしています。という、細かな技術改良がありまして、こうしてでき上がっています。

1 2 3 4 5 6