イベントレポート詳細Details of an event

第28回 AGC studioデザインフォーラム
U-30 Young Architect Japan. 開催記念対談イベント

2013年3月8日(金)
講演会/セミナー

大坪 僕らは去年もこの場に出させていただいて、その時に話したことで今回も共通していることがあります。ガラスの扱いは「ないもの」として使うのが普通なのですが、そういう消極的なものより、積極的なものとして使いたい、ということでした。
今回の提案もまさにそうで、ガラスから来る光は素の自然光とは違う。太陽光でもなく、人工光でもない、そういう種類の光をもたらすガラスの使い方を考えました。非自然、非人工というおもしろい存在。

 

倉方 そう、それがとてもおもしろく感じました。それが今までのあなた方の作風の延長線上にあった。
本当はガラスなどないほうが、自然光の方がいいのだけれど、という代理物的な考え方が通常のガラスの扱いなのだけれど、それじゃ、ガラスがかわいそうだ、と。
増田さん、大坪さんには、ものごとを肯定的にとらえようとする良い気質があり、それがよく出ていた。さっき増田さんが言ったように反射ガラスという、バブル期的な、いまもっとも価値が落ちているものに光を当てたのはおもしろい。

 

建築に限らず、文学やファッションなどの歴史を見ているとだいたいそうなんですが、25年というのは、その価値が底を打つ時間なのです。今から思うと80年代後半のものは大体、格好悪いですよね(笑)。でも50年前のものは格好良く見える。
僕らが学生だった頃は、戦後の建物は研究対象にならなかった。25年前のものですからね。ところが50年前になった2000年以降は、もう価値あるものとして研究対象になる。50年すれば、ちゃんとなるんです。25年で低落して、その時に失われてしまうもの、淘汰されてしまうものは残らないのです。

 

でもいったん底を打ちながらも消えなかったものは後に見直されて残っていく、と、僕は歴史を見ています。そういう意味で言うと、今反射ガラスは価値がもっとも落ちている。それをすくわないと、なかったことになってしまうかもしれない。
今、反射ガラスを扱おうというのがおもしろいですね。それと、久保さんが「ガラスを建材として再評価したうえで、使いたい」というのに対し、増田・大坪さんの作品は「建築計画として使いたい」という考え方ですよね。
普通はプランニングが終わってからガラスが入ってくるけれど、あれはプランニングを揺るがすものだと感じました。

 

増田 言葉は違うのですが、僕らは「空間をつくる」という意識がないのです。というのは「つくる」と意識したとたん、すでに外部環境に対して逃げ腰になってしまうという印象があります。
だから「内部をつくる」という感覚はなるべく捨てるようにしたほうが設計にとってはいいと思います。

 

倉方 「空間をつくらない」というのはお二人のスタンスをよく表していますね。普通だと「建築とは空間だ」というのが伝統的な物言いとしてあり、巨匠と呼ばれた戦後の建築家たちも「建築とは空間を定義するもの」であり、だからこそ「空間として素晴らしいものをつくるのが建築家である」という考え方が支配的ですね。
でも建築を「空間」というものに閉じ込めてしまうと、かえって限定されてしまう、ということになりかねない。空間をつくらないという考え方は腑に落ちます。
というところで、米澤さんはどう思いますか?

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