イベントレポート詳細Details of an event

第28回 AGC studioデザインフォーラム
U-30 Young Architect Japan. 開催記念対談イベント

2013年3月8日(金)
講演会/セミナー

倉方 もう一つ例を挙げますと、以前『ドコノモン』という本も出していて、これは、それまで建築として紹介されていないけれど魅力的な建築物を見て回って紹介した本です。その中に「新橋駅前ビル」があります。1971年に立てられたものですよね。
あれは建築として有名ではありませんでしたが、近年では時々メディアに出てきますよね。
すぐ前のSL広場で、ちょっと赤ら顔になったサラリーマンの方々にインタビューする映像がテレビでよく紹介されていますね。

 

それまで誰も取り上げなかったのですが、僕はあの駅前ビルがとてもいい建築だと思っています。ガラスの使い方がうまいのです。アミ目が効いていますよね。
昼間はモアレ状になっていて整然としていますが、夜になると一転、いろんなネオンや夜の光がガラスに反射している。
網目状に分割されていて、さまざまな色がそこに浮かんでいて、実際、それが反射した光なのか、内側から透過してくる光なのか、よくわからない。でもその感覚が新橋の猥雑とした雰囲気に合っていて、昼間に戻ると、またビジネス街的な表情に戻る。昼と夜がともに魅力的なビルは、意外と少ないのです。

 

ガラスはそういう”レンジ”を持ったものであると再認識させられます。そして、今回の3作品からも同じことを感じました。
参加なさったみなさんはどうですか? そういったガラスの割り切れなさのようなものについて、どのような考えや印象をお持ちでしょうか?

 

久保 倉方さんが仰る「透明性ではなく~」ということに共感します。僕も今回は、ガラスは単なる透明なものとして扱わない、建築を構成する確固たる1要素として、その存在を出したい、と考えました。いつも見かけるガラスは小口が”隠蔽”されている。厚みも外からではわからない。それを表に出してやろう、と最初に考えました。
まずガラスを積層させて塊のようなものを作って、光を当ててスタディしていたところ、あの分光現象を発見したのです。

 

倉方 久保さんの作品は3人の中でガラスを使っている割合が一番少ないのですね。けれどあの使い方が空間をすべて規定している。あの使い方はとてもおもしろい。

 

久保 まさしく、それがやりたくて、全部を形作るのではなく、一部が建物全体の形を制御している、というものを提案したかった。

 

倉方 建材として使いたいわけですよね。耐力計算もしていて、あれくらいならという幅や厚み、屈折率まで計算し、ああいう使い方が実際に可能であると。

 

久保 ガラスを別のもので支えてしまうと、二次的な用途になってしまうので、例えば壁とまったく同じ存在として使いたい。厚みも、側面の壁と同じでくらいで、そのままトップライトになるということで。

 

倉方 トップライトは現在の建築で、それほど重要視されていませんよね。戦前と戦後の建築を比較してみても、光の扱いはまったく違っています。
例えば博物館でも戦前に建てられた博物館はトップライトが必ず入っている。一方、その頃のオフィスビルは中庭形式でした。とくに昔の中央官庁などがそうです。
あれらは外から見ると大きそうに見えて、その実、あまり大きくない。日の字型、コの字型、ロの字型など必ず中庭をとっていた。そうやって自然光を上から中庭を通して取り入れる手法は戦後、減りました。

 

住宅では一部意匠的にまだ残っていますけれどね。久保さんの作品でおもしろいのは、そうやって自然光のトップライト方式から離れたのが戦後のことで、そこと接続しつつ、だけどその光が1でもなく、allでもないということ。通常はスポットライトとして1で使うか、あるいはallで使いたいから北側に設けるというやり方になるのですが、「2」という新しい取り方を提案されているのは非常におもしろいです。

 

増田さん、大坪さんはどうですか?

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