イベントレポート詳細Details of an event

第28回 AGC studioデザインフォーラム
U-30 Young Architect Japan. 開催記念対談イベント

2013年3月8日(金)
講演会/セミナー

●第一部 3組のプレゼンテーション

 



 

久保 「Sun For Two」という提案で優秀賞をいただいた久保と申します。本日はよろしくお願いします。

 

今回のコンペで「多様な光のあるガラス建築」というテーマを提示され、まず考えたのは、次のようなことでした。私たちが普段見ているガラスは、ただ光を通すだけで、空間に対してあまり表情を持たないという印象があります。もちろん曲面のガラスを使ったり、加工したガラスを使ったりすれば光の操作をできるのですが、そうではなく、日常的な板ガラスを使って何か新しい空間を創りたいと考えました。

 

この画像は、ガラスの小口を太陽に向けているところです。いろいろな角度からガラスに光を入れてみましたら、小口から入った場合、2つに分光される、ということに気付きました。
なぜ、そのような現象が起きるかと考えますと、ちょうど光ファイバーと同じく、ガラスの中で光の全反射を繰り返しながら透過している、と分かりまして、その反射が偶数の場合と奇数の場合で方向が2つに分かれるのです。そこで、この2つに分かれるということの意味を考えてみました。
古来から太陽光の角度は、時間や季節などと密接に関わっており、私たちも普段から太陽光の角度や方向を感じながら暮らしています。光が2つに分かれるということは、あたかも2つの時間や季節があることだとと考えました。

 

そこで今回、この断面図に示すような空間を提案しました。このようにガラスを積層させてその小口を太陽方向へ向けたトップライトを設けました。ここから入る光は2つに分かれて出て、同じ空間に2つの異なる光環境をつくります。
これが断面模型です。このトップライトの角度は、35度に設定しています。つまり、夏至の南中高度と冬至の南中高度の中間(春分、秋分の角度)に設定しました。。
そうすると夏の太陽が射し込んだ時、このように冬と同じ角度の光が一方に現れ、また逆に冬になると夏と同じ角度の日差しも空間に入ってくる。このように光が2つに分光されることによって冬と夏の光が同時に存在する。1つの時空の中に2つの季節の光環境を生むことができるのです。
このトップライトは高透過ガラスを積層させてガラスの塊のようなものをつくるよう計画しました。このように構造計算もしてあります。高透過ガラスにしたのは、通常のガラスにある緑色を出したくなかったからです。接着膜で合わせガラスのようにしています。

 

次の画像は、いろいろな角度から光を入れてみた写真です。通常のトップライトだと光が一カ所に集まってしまいますがこのように積層トップライトに替えると2方向へ光が配分され、結果的に空間全体も光で満たされ、かつ、2カ所に特色のある光が入ってくる空間になります。こうした現象の建築的な意味を考えますと、トップライトにはパンテオンのように、一方向に入ってくるようなものと、すりガラスのようなものを使って空間全体に光を柔らかく充満させる2つしかなかったのですが、積層ガラスのトップライトが加わることによって2方向へ分解できる光空間というものが生まれることになります。
時間や季節の変化で光がどのように変わっていくかは、模型やCGだけでは伝わりにくいのでムービーを作成しました。ご欄ください。

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