イベントレポート詳細Details of an event

第26回 AGC studioデザインフォーラム
これからのキッチンを考える

2013年1月29日(火)
講演会/セミナー

キッチンスペースの新しいコスト計算

 

本日ご来場の方々にとって、次のキッチンプランの図もご存知のものだと思います。
キッチンのプランによる制作費と作業効率の関係について、私は非常に興味があり、プランによって変動するコスト効率を数値化できないものか、と考えてみました。図のように同じスペースの中でシンク、コンロ、冷蔵庫の3タイプの配置を想定し、それぞれにコスト効率を算定しています。
キッチンの製作コストは一般にキッチンの製作コストは一般に外側の数値で決まります。ものつくりを経験しない人は、コーナーのように重なる部分があると、安くなると思っています。でも、(L字型やU字型など)コーナーのあるキッチンでは、加工や造作の複雑さのためかえって高くつきます。
実感として使い勝手も悪く、コーナー部は作業効率の悪いスペースになる。つまり使う人にとっては、内側の寸法が実際の作業スペースを体現する数字です。

 

図で一番左の対面キッチンの場合、内側(作業長さP)が1,350+850で計2,200㎜、外側(製作長さW)が2,000+1,500で計3,500㎜、製作長さ(W)を作業長さ(P)で割ったコスト効率(E)は2,200/3,500なので63%になります。
また、その横のL字型は内側(作業長さP)が1,350+1,150で計2,500㎜、外側(製作長さW)が2,000+1,800で計3,800㎜、コスト効率(E)は2,500/3,800なので66%になります。
一方、シンクとコンロを両サイドに分けたI型のタイプでは内側(作業長さP)が1,800+1,800で計3,600㎜、外側(製作長さW)も1,800+1,800で計3,600㎜、つまりコスト効率100%になります。
こうして見るとはっきり分かるのに、ふつう現場ではキッチンスペースに対するコスト意識はほとんど存在しません。メーカーが作ってきたものをスペースにはめ込むという設計になっています。もちろん施主や設計者へプレゼンする時にメーカーはこうした数値で値段を出すわけではありません。
先のP(作業長さ)/W(製作長さ)に「K」という係数をかけて計算します。この「K」とは何か? ”勝手”に、いかようにでもできる係数という意味です。「ちょっとお金がかかりそうだから1.2倍にしようか」「面倒な手間が増えるから1.5倍かな」と、そうやって計算している(笑)。

 

オープンキッチンは念じて造る

 

事例紹介に入る前に、これだけは絶対押さえておきたい、ということをお話しします。
それは「楽しいキッチンづくりとは?」ということです。まず、キッチンづくりでは小銭を惜しんではいけません。あと10万円ですごく良くなるのに、つい、それをケチってしまうことがよくあります。
それと台所はオープンなところにしなければならない。
私は常々、「オープンキッチンのすすめ」を提唱しています。オープンと言いますが、それは対面キッチンの上部が開けているなどという、単純なものではありません。上部が開いていても実際にオープンでないキッチンはたくさんあります。
みなさんは「ダイニングキッチン」と「オープンキッチン」の違いはどこにあると思いますか? ちょっと分かりにくいかもしれませんが、ダイニングキッチンというのはキッチンの一部にダイニングテーブルを置いて食べる、ということであり、「キッチンで食事をとる」というタイプのキッチンです。
一方、オープンキッチンは大きなスペースの一部をキッチンにし、そこで料理をする、ということです。キッチンで食事をするのと、スペースの中で料理をする、という(主従の逆転の)違いがあります。
図面上ではその違いは分かりづらいのですが、設計するコツとして、常に「オープンにする、オープンにする」と念じ続けることが大切です。そうやって念じ続けてプランするとオープンになります。オープンにつくれたキッチンでは、いつ行ってもきれいになっています。
逆に、念じ続けないとダイニングキッチンになってしまいます。まあ、これは形ではないので、事例で詳しくお見せします。

 

この後、スライド写真に解説を付けながら多数の事例・作品紹介を行い、次いで、中谷氏の導きで質疑応答(広葉樹無垢材の加工、熱源の比較、子どものキッチン使用例など)およびミラノ・サローネなど世界の最新潮流(IHコンロの最先端やそれに合わせた調理道具などの進化)、さらにカラーガラスの反射機能を利用して手元に影ができにくい優れたキッチンの調理スペースを実現した例などまで解説し、講演を終了。

 

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