イベントレポート詳細Details of an event

第24回 AGC studioデザインフォーラム
「省エネ法基準改定でこう変わる、ビルの設計作法」

2012年11月20日(火) 開催
講演会/セミナー

計算法の概要

 


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続いて計算法の概要、もう少し詳しい具体的な中身についてご紹介します。この図は「建築物の一次エネルギー消費量基準における算定のフロー」を示したものです。左側の青い部分が基準値で、その横の赤い部分は、みなさんが設計内容を反映させて計算する一次エネルギー消費量になっています。
簡単に言うと、設計値を基準値で割り、それが1以下になればいい。要するにみなさんが設計する一次エネルギー消費量の総和が、基準値の総和を下回ればいいのです。

  

ただ、この基準仕様が不明確なのでややこしいのですが、告示案上は、この基準値の数値だけが示されているという現状です。
ここで留意すべき点は、「事務機器の省エネ手法は配慮しない」ということ。また太陽光発電等についても考慮してくれるということです。
これまでは事務機器は省エネ法の中に盛り込んでいなかった。しかし、今後はパソコンやコピー機などまで算定の中に入ってきます。
ただし、例えばクラウドコンピューティングで効率化したとしても、それはコンピュータとしての効率化であり、建物の効率化とは違うので、そこまでは考慮されません。でも、エネルギー消費に関しては換算対象になる。また太陽光発電分は全体の消費量からマイナスできます。
そして、もしゼロエネルギーを達成して、使用エネルギーよりも売電できるエネルギー量が上回ったとしても、その余剰分はカウントされません。あくまでも建物内での収支であり、外に売ってしまった分は引けないルールになっています。

  

 

さて、この一次エネルギー消費量は、算出をわかりやすくするため室用途毎、設備毎に基準値が示されています。ただし、空調などはいろんな部屋にまたがっているので実はかえって分かりにくくなっている面もあります。
~(算定の詳細は略)~

  

このように基準値が用途毎に決まっており、それぞれの室毎に合計値を出します。こういうことを地道にしていかねばなりません。

 


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一方、こうした仕様だけ決めても、利用時間や設定温度などが定まらないとエネルギー消費量は定まりませんので、それは実態調査を元に決められています。この図にあるように、例えばオフィスの事務室と学校の事務室、工場の事務室で使われるエネルギー量は違うわけです。
そういったことを考慮できるように約200の室用途毎に分類し、算定できるようになっています。それの詳細は告示の別紙になっておりますが、実態調査から導いた数値ですので、この別紙の内容については今後も変化していくのではないかと思います。
これらの数値をきちんと計算するためには「WEB算定プログラム」が提供されるということになっております。スライドにありますように、現在、住宅のトップランナー向けに提供されているこのようなプログラムの建築版が提供される予定です。
住宅用の場合は5分から10分程度かけて各項目を入力していくと自動計算されるわけですが、建築用になれば、そう簡単に入力はできませんよね。そこで、この入力シートはCSV(エクセル)ベースになるとされています。
このスライドのようなシートで、室リストがあり、それに対して用途、階高、天井高、照明の間口、照明の奥行きなど、すべてリストに書き出して、それをCSVデータにし、プログラムに読み込ませる作業が必要になります。そうやって、この表のようなものに入力するのを考えると、簡易化ではなく、複雑化のように思えます。空調、換気、給湯などを室毎に細かく入力しないといけない。
そこで、次のスライドにあるような「入力者(設計者)のための入力ガイドを整備」とありますが、こういうようなものを講習会などを通じて用意していくということのようです。

 


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次に「新省エネ計算の必要図面」について触れておきます。
これは例えば、誰かに「計算書を作って」と頼む場合、すべての内容を説明しないと先ほどの入力シートを埋められないことになり、その説明が大変になる。そこで、先のCSVに入力しなければならないものについては、きちんと図面上にも表現しておくことが求められる、というわけです。
今後、省エネの届出にはそういう図面の提出も必要になります。これまでの建築確認では届出を必要としなかった図面も新たに提出しなければなりません。特に自動制御図などについてもエビデンスとして出さなければなりません。
いずれにせよ、必要な図面を明らかにし、記載すべき内容を明示することになります。なお、入力者(設計者)に便利なツールとして、スライドにあるような計算条件(室使用条件等)の早見表を整備するとされています。

 

ところで、現在、世の中にはいろんな省エネ計算ツールが存在し、利用されています。例えば「BEST」というビルディング・エネルギー・シミュレーション・ツールという便利なものがありますけれど、こういうものを届出に使っていいかどうか、については「告示の内容に合致しているなら原則として使ってもいい」と言われています。
ただし、その認定は自治体の責任で判断することが求められており、結果として、各自治体の建築主事の判断に委ねることになります。もちろん主事さんが独自に判断するのは難しいので、今、学会で、こうしたプログラムを認定するためのガイドラインを作らねばならない、という動きがあると聞いています。

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