イベントレポート詳細Details of an event

第22回 AGC studioデザインフォーラム
「震災における非構造部材の被害について」

2012年9月20日(木) 開催
講演会/セミナー

ガラスの被害について

 


 

ガラスの防災については『「安全・安心ガラス設計施工指針」の手引き』として2010年の初頭に完成しましたこの小冊子を板硝子協会から発行しています。それをもとに東京、続いて大阪で講習会を開催し、ちょうど東京へ戻って来たところに、あの大震災が起こりました。
私は当時、板硝子協会に所属していたので、私たちがこうやってまとめたものを、「それを守っていたらどうなったのか?」という視点で考えました。

 

さて、ガラスに関する被害調査については、在来線を乗り継いで被災地へ入っていったのですが、その時は一次情報として「自動車販売店のガラススクリーン被害が多い」ということ、また「商業施設の天井被害が多い」という情報を得て、さらに「ガラスの防煙垂れ壁についての被害もある」ということも聞いたので、これらを重点的に調査すべく活動をしました。

 

調査では、まず目視で早期に観察し、調べました。ガラスの被害というのは、すぐに片付けられてしまうからです。
早期に数多く見ないといけないので調査会社にも依頼してご協力いただきました。モニタリング、ヒアリングも行っています。
調査の地域と時期はここに示したようになっております。津波ではなく地震での被害に絞り、まずは仙台市およびその近郊から始めています。

 

被害の大きかった仙台の卸町近辺、長町の周辺、また仙台駅から国道45号、285号といった沿線は自動車販売店が集中しているので調査対象にしています。それと、国道37号線、22号線、4号線など川沿いや地盤の緩そうなエリアも調査しております。
仙台市の南部方面では名取市中心と4号線、20号線沿い、仙台空港まで足を伸ばしています。先ほどもご説明いたしましたように、こうして被害報告をしますと、ガラスはものすごく被害を受けて壊れてしまったように誤解されかねませんが、今回お集りいただいた方々はご専門の方が多いので、そういう心配はいらないと思いますが、実施のところ、最近の構法に則った建築物では、ほとんどガラスの被害がなかったのです。ということを、あらかじめ申し上げておきます。わかりやすい所では、仙台駅周辺のものはかなり健全でした。

 

ただし、この写真のような事例、慌ててベニアを入れたような例も見られましたので、確認いたしましたところ、家具の転倒で割れた、ということでした。ガラスリブ構法の長大なものでも健全であったことを確認できました。
この写真のビルは、外側が大丈夫でも、天井が脱落してガラスもめちゃくちゃに割れています。それからMPG構法(メタルポイントグレージング構法)も健全だったことを確認しました。
仙台駅周辺の百貨店さんなどはすでに耐震補強をしていたので、天井の破損やそれに伴う防煙垂れ壁の破損もほとんどありませんでした。ただ一部、壁際の取り合いが悪く破損したものもあります。

 

それに比べ、郊外へ出ると、外壁の脱落を含めてかなり目を覆うような破損状況がありました。
例えば、写真のような鉄骨の大空間構造には特異な破損があります。自動車のショールームは車を並べるので、サッシや柱がなく、外からよく見える大きなガラス張りが多いわけです。
そして4号線沿いのショールームは軒並みこのようにブルーシートが目立っていました。とくにコーナー部分の破損が多く、メタルポイント構法もそうでした。
また報道によると仙台市内でもショールームのガラスが破損した例があります。それから卸町周辺では、スーパーのガラスと壁、柱との取り合い部で破損があります。

 

これは象徴的な写真ですけれど、防煙垂れ壁が大きく揺れて壁の内側に痕跡を残していますね。こんなにも大きく動いたのです。

1 2 3 4 5 6