イベントレポート詳細Details of an event

第19回 AGC studioデザインフォーラム
「新しい建築の楽しさ」展連動企画 講演会”場所性を考える”

2012年6月21日(木) 開催
講演会/セミナー

中崎 残り時間が少ないので、私から質問をいたします。

 

まず安宅さんには、遠野再生ということについて建築家へ依頼する意義、例えば、建築家に頼まないのであれば馬付き住宅を旧来の「南部曲がり家」にしたり、チロルの馬を導入したのだからチロル風の建築にしてしまう案もあると思うのですが、そういう状況でどう発想されたのか?

 

また白井さんへは、中国の場所性というのは「時間のなさ」「スピード」と言っていいかもしれませんが、そういう場所性の中で今回の中庭形式、リングの積層以外に別案があったのかどうか、お聞きしたい。

 

そして小堀さんには、「地形を作る」「地形を生かす」という点で今回は大屋根を選ばれましたが、それ以外ではどういう案を考えられたか、など順番にお聞かせ願いたい。

 

 

安宅 私は遠野へ何度も行くようになって、これまで自分が設計してきたものの延長でデザインしてもダメそうだと感じ、すごく悩んで時間をかけて考えました。プログラムとしてはすごく単純で、その機能面だけを狭く考えれば数日で設計できそうなものです。
しかし、自分が訪ねた時に、自分が期待した風景、「遠野と馬」という風景になっているか、あるいは新しい農業のライフスタイルと合っているか、そして、そこで生きていこうとする人にとって魅力的か、ということなどについて1つ1つチェックしていきました。最初の頃は、通常なら「こうだ」と思える方法論でピンとこなかったし、実際、他のスタッフの方々もそう感じていた。それに対し、素直に練り直していったのです。

 

 

白井 中国でも複数案を出します。今回は2案出して、1つはリング積層で、もうひとつは山を並べたようなプロポーションの案でした。クライアントの責任者は、山の案を気に入っていたようですが、周りの人が反対しました。リングの案はわかりやすいし意外と汎用性がある一方、山の案は汎用性がない。方向性がはっきりしてしまうし、下部が大きく上部が小さくなり、すべてが特異点になって、ワーキンググループとしては「何かあったときにはたいへんそうだ」と感じていた。
結局、初めて行った土地ではフレキシビリティが大切なのだろうと思います。何かあった際、リスクを小さくできることも大事と思います。

 

小堀 大屋根の形式は初期段階から考えていた案です。ずっと付き合ってきて実感しているのですが、ROKIという会社には家族的な社風があります。
研究所は大きな屋根に守られた下にあって、その安心できる場所でじっくりものを考える。会長さんも舟が好きで社員全員が帆船のクルー、チームとして働く。みんなが同じ帆を見上げて航海するように、同じ屋根を見上げて仕事をする。大きな屋根は、そういう一体感、共有感として最初から大切なデザインでした。

 

中崎 どうもありがとうございました。

 

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