イベントレポート詳細Details of an event

第16回 AGC studioデザインフォーラム
U-30 Young Architect Japan. 開催記念トークイベント

2012年4月
講演会/セミナー

平沼 これはU-30にまつわるトークイベントなので、僕自身が30歳くらいの時に作った作品例を持ってきました。
僕は27歳で独立し、この作品はちょうど30歳くらいの時に依頼された住宅です。
先ほど石上さんの作品を見ていて凄いと感じたのは、クライアントとの関係です。かなりプライバシーと関係するところまで入り込んでおられた。
僕は20代後半の頃、そうしたプライバシーに関わる問題はうまく解決できなくて、この写真のように、ガラスの透明性を活かして開かれた廊下を作ってはいたものの、結局、最終的にはこういう閉じた住宅になってしまったわけです。住宅の建築では、どのように周辺環境との間合いや関係を図っていくかが大切な課題ですよね。僕は当時、内へ内へと向かう閉鎖的な方向へ進んでいたような気がします。

 

なおこれは一人暮らしの方の家で、ガラスを多用して住宅の内部を透過できるようにしました。対面する庭を挟んで分棟で建っている配置ですが、内側に向けて開き、外には閉じたつくりになっています。

 

次の画像はその1年遅れくらいの作品です。よくある話で、「外からは見えないが内から外はよく見える」というタイプで、ルーバーをかなり使っています。また外壁まわりにはガラスを多く使いました。
ただ、これもやはり内に開かれていても外に対しては閉じているわけですね。で、僕は概念として、ガラスは開口なのか、あるいは壁なのか、ということを考えていて、それがよくわからない状況のものを作りたいと思っていました。そこで、開口部を小さくとらえて、このように木を積層して作っていく考え方もある、と。

 

この写真はフランスのブルターニュで作った住宅のエントランスです。リタイアされたご夫婦の別荘で、エントランスやリビングなどの機能を重視し、寝室以外の広い用途性を非常に強く要望された住宅でした。そこでこのように木造とガラスを細かく組み合わせたつくりにしたのです。

 

最後に、いま被災地の大船渡で商店街のプロジェクトに取り組んでいます。屋根をガラスでつくるというものです。

 


太田 ありがとうございました。
3人の話で共通していると思ったのは、単なる空間の話ではなく、ガラスという材料を通して、建築を物質としても見ているというところですね。
例えば、石上さんや佐藤さんの「ガラスがたわむ」というのは物質としての話ですし、平沼さんも、木造の物質単位を小さくしていくと空間の力学が見えるようになる、建築が力学のリアリティをもって見えてくる、といったようなことで、そこに現代性があると感じます。

 

さて、ディスカッションの始めとしてまず石上さんに確認したいのは、単に軽い構造をつくりたいのか、あるいはそういった軽さとは違う何か、言い換えれば「何を追いかけているのですか?」という問いです。

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