イベントレポート詳細Details of an event

第15回 AGC studioデザインフォーラム
U-30 Young Architect Japan. 開催記念対談イベント

2012年3月30日(金)
講演会/セミナー


増田 増田信吾です。

 

大坪 大坪克亘です。

 

増田 代表して私が話します。
僕らは大学卒業後すぐに設計活動をしてきました。今回のコンペに参加するにあたり、昔から2人ともガラスに対して「なかなか手を出せない素材」という印象を持っていました。というのはガラスは、困ったときに使う、外と遮断するときに使うというのが一般的で、ある種マジカルな素材であり、設計者として「使いこなすのが難しい」と感じてきたわけです。
しかし、ガラスをテーマにコンペをやるということで、改めてガラスと正面から向かい合ってみたのです。自分たちとしてはこの機会に「逃げずにガラスを消化する」という気持ちで臨みました。

 

まず従来の建築のプランニングでは、内側に光を取り込むために使うというのがガラスの使用法だったと思います。つまり、「外→内」というベクトルです。
もちろんその時にガラスの特性が発揮されるのですけれど、この構造を一度考え直してみて、もう一つ上の”メタ”な使い方がないかを検討してみました。例えば、外から内へ取り込んだ光を、もう一度外へ返してみる「外→内→外」という構図です。
そうすると、従来はいわゆる暗い北側の陰だった部分であった場所へ、建物の中から光が射し込んでくるという新しい状況が生まれます。北側という位置づけがそれにより変わるのではないか、ガラスの新しい居場所が見つかるのではないか、と思ったのです。

 

そういうことを考えると、内部を設計しながら外部も同時に設計するという手法へ変わっていくので、「内外」という価値観も少し変わる。そういうようなことを思い、モデルや模型を3つほど作ってみました。
まずモデルAは、周囲が建物に囲まれた暗い敷地を想定しています。それに対して、建物は中央に小さくプランして、周りにできるだけ大きな庭をとります。
建築の構成としてはスキップフロアを持っており、上階のガラスとそのスキップフロアを通して入ってきた光は外部へと抜けてゆき、内部は薄暗く切り立った渓谷の中のような場所になります。
模型の写真にありますように、建物に射し込む光が北側の戸外に、明るく大きなリビング的なものを設けてくれます。外部性と内部性をともに包含した、庭を含めた全体で大きな部屋のような場所がつくれる、というプランです。

 

プランBは、一般的な住宅と同じで、通常は南側の敷地を大きく空けて北側に寄せて建物を建てるというプランです。これが断面図です。
2階にテラスがあり、模型の写真で見ていただくとわかるように、通常だと北側のデッドスペースになるところが、テラス方向から入って来た光が抜けて来て、明るい庭であり、かつプライベートを確保する心地よい空間が生まれます。

 

モデルCは、マイクロルーバーが施されたガラス一体型の屋根がかぶさるワンルームの建物です。周囲は林という設定です。
マイクロルーバーというのは、携帯電話やモバイルディスプレイなどの、覗き見防止用のシートです。立面図にあるように、光がこういうふうに通り抜けていきます。
内部では角度によって空が透けて見える場所と見えない場所が生まれ、時間や天候、季節などによって太陽光は変化しますから、そこにはぼんやりとした屋根ができるわけです。うっすらと見える屋根が建物の内部性を希薄化します。季節や天候の変化を内部へ取り込めるワンルームです。

 

繰り返しますと、今まで光は「外→内」という、内部で行き止まっていた。それを「外→内→外」と通過させることによって、薄暗い隙間に光が落ちていたり、北側のネガティブな扱いをされていた空間に、暖かな日だまりが生まれたりします。
こういう使い方は、光とガラスのあり方の新しい提案であり。外と内の関係に新しい要素を生み出せるのではないかと思います。建築は閉じながら、でも外とつながっている、そういう方法論になるのではないかと感じています。

 

倉方 どうもありがとうございました。

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