イベントレポート詳細Details of an event

第4回AGC studioデザインフォーラム
「環境建築の3要素を確立させたい ─自然エネルギー利用とソーラー建築デザイン」

2011年4月22日(金) 開催
講演会/セミナー

ソーラー・アーキテクチャーの時代

 

1993年に「リード宣言?」というものが出されています。「未来の居住環境は自然と交流し、無尽蔵の太陽エネルギーを基本とするものでなければならない」と。
で、ノーマン・フォスターやリチャード・ロジャースは”ガラスの建築家”と思っていたのですが、そうではないのですね。ある意味、環境建築家なのです。
ガラスは自然界からエネルギーを採取するための装置でもあります。日本の建築学会でも数年前に「ソーラー・アーキテクチャー・デザイン・ブック」を作りました。
当時の環境デザインというと、どこか格好わるいとか、いまひとつ、だと言われていて、それは今でもそうなのですが、ソーラー・デザインをうまく消化できていないところがあると思います。
ただ、ヨーロッパでは「ソーラー・アーキテクチャー」というジャンルが確立しており、ソーラー・アーキテクトも存在しています。

 

先の、太陽電池を抱えた人の画像と関連しますが、この画像は南面が全て太陽エネルギーを取り出す装置になったビルです。ご覧のように南面には窓が一切ありません。人は北側や東西の面を利用し、南面を太陽光が占有するという建物です。
また近代建築のほとんどは工業化に適した四角い形状のものが主体でした。しかし、太陽エネルギーや自然エネルギーを得るためには形状も考えなければなりません。
この画像は、卵みたいな形状の建物です。さすがフォスターさんという印象ですが、さまざまなシミュレーションをして外部からの日照が内部へ入らないよう廂(ひさし)が付いています。
表面積がもっとも少なくなるのは球体で、それが最も省エネにできるのですが、もちろん単純な球体にすればいいというものではありません。
太陽が動くので、それに合わせた形状をシミュレーションし、結果的に意味のあるデザインになっています。
これはその内部の画像ですが、通常の建物だと普段使わない避難階段もここでは日常的に使われていて、人とのコミュニケーションの場になっています。階段室というのは非常に重要な縦シャフトであり、光を取り入れる装置であったり、排気をする装置であったり、人が出会う場所であったりします。そういうようにひとつのものを多機能にしてデザイン化するという手法です。

 

似た例をもうひとつ紹介しますと、これはヘリオトープという建物です。太陽が動くわけですから日の出の頃は東を向いています。そして太陽を追いかけるように回転して行く。この画像は冬ですね。
一方、こちらが夏の画像で、外周に断熱層があって光や熱を入れないようにしています。近代建築では建物が動かないように設計してきましたが、使えるエネルギー源が太陽しかないということになれば、建物もそれに応じて動くのが当たり前ということになってくるかもしれません。
まぁ、人間はもともと熱い時には服を脱ぎ、寒い時は着込むというように、環境や太陽に合わせて生きてきたので、建築も同じように考えるということです。
そうしたことを太古から考えて建築を行ってきた生物がいます。アリです。これは蟻塚の断面図ですけれど、アリから見ると超高層建築ですよね。私たちにとっての東京タワーなどよりも高いかもしれない。
蟻塚の中はダブルスキンになっています。砂漠ですので昼はものすごく暑い。逆に夜は放射で冷えます。そして寒い時は、葉っぱを底層部で醗酵させその熱で暖房をしています。化石燃料を使うことのできないアリたちのほうが、私たちよりも利口なのです。

 

ところで、太陽電池パネルはいま大流行りになっていますが、このように旧来の住宅の上に乗せるとあまり美しくはないですよね。こんなものないほうがきれいですよね。
だから、自然エネルギー利用といっても、これでいいのかという気もします。建築は文化の一つですから、その美しくない景観がしゃくに触ります。
けれど、ソーラー利用は社会的、ビジネス的に大問題だから、取り組まざるを得ない。僕もそういう意識を持って取り組んでいます。なんとか新しい、美しいデザインをしたいのです。でも太陽電池パネルが押し並べて四角いのは解せません。太陽は丸いのですが(笑)。

 

現在の技術ではカーテンウォールはどこでも付けられます。太陽温水器、太陽電池、可変ルーバー等を上手に組み込んだ建築を、また窓の大きさや方向も太陽の方向に合わせたり、外壁も力学的な構造物という側面だけでなく、エネルギーを取る装置として考え、それを美しいデザインで構造化しなければなりません。

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